秋雨

 雨、少し大粒の雨が夜中から降り続いている。それ程雲は低く垂れこめていなく、一部青空が見えるところがある。普通の雨雲とはちょっと違う。

 太平洋側から暖気が侵入しているためそれ程寒くは無い。果たしてこの雨はどれ程降り続くのだろう。

 最近土砂災害等で被害に会われている方も多い、そんなに降らなくても良いのにと思うほど降る日がある。そういった雨なのだが、やはり農作物、草花などにとってこの雨は恵みの雨である。少しでも降らなければそういった植物は枯れてしまう。

 秋の長雨とよく言うが、梅雨時期と同じように日本では、秋雨前線が停滞する。北海道も秋の長雨が続く年がある。それは自然の摂理のようなもので、人間がコントロールするものでもない。却って今の農業は、安定供給をするために生育環境をコントロールできるハウス栽培などが増え、自然の影響をできるだけ受けないような方向へ向かっている。

 人間がコントロールできないために災害が起きるわけである。その災害もやはり危険と思われる土地に近づかないという安全対策が必要なのだが、ある一定の土地に人口が集中する日本は、わざわざ危険な所に住宅を建てようとする、或いは知らずに建ててしまうという事が多いように感じる。

 自分からしたら何故あんな所にという所に家が建っていたりする。確かに山の中腹の他より高い所に家が建っていれば、窓からの眺望は素晴らしいだろうと思う。今は自動車社会なので、家までの道のりが延々と坂であっても気に成らないのだと思う。

 自然災害が起こらなければ、安定した大地であれば、毎日素晴らしい景色が見えるのだからこれ程気分は良いことは無い。しかし、残念ながら日本は、雨が多く、地震が多い国でもある。最近では一端降れば止むことを知らない集中豪雨というのもある。

 

 日本の平野の殆どが扇状地という成りたちの所が多い。扇状地というのは皆さんも知っているように山が雨で浸食され流れた出た土砂を川が運んでくることで広がって行く。

 

 日本の立体地形図を見れば、山が徐々に浸食され谷が出き、その削れた土や岩が流れ出て海に辿りついていることが判る。この山谷も、以前はもっと一塊の姿だったものが長い年月を掛けて今の地形に成ったことが想像出来るだろう。

 そういう意味で、日本の土地に何千年も同じ形で存在するところは無いと言って良い。安定した土地であっても、雨が降り川が流れればその土砂は崩され地形が変わるだろうし、小さな地震による断層は平野を段丘に変えていく。

 人間の寿命でいえば、その生きている間に住んでいる土地が変化する可能性は低いが、何代も続けばいつかは住み慣れた土地が突然災害に遭うという事も起こりうる。そんな国なのである。


 そういった土地に住みながらも、雨降りの日は別な気持ちに成る。それは、雨が嫌な事を全て洗い流してくれるような気がするからである。もし雨が降らなければ道路は土埃にまみれのままだろう。それを洗い流す景色を見ていると自分の心に積もった鬱積も洗い流してくれるように感じるのである。