対 水戸戦

 曇り、気温は8度。

 寒さが一段と増してきた。徐々に山々の紅葉がチラホラして秋が深まった感が強い。

 対水戸の試合は、CSの録画で見たのだけれど、結果を知ってしまっているため何となくつまらなかった。見るまでの情報遮断をするのは非常に難しく、ネットなどを毎日していればすぐにでも結果が入って来てしまう。情報遮断は、数時間程度が限界である。

 試合は、トータルで見て札幌が支配していた。ただし、ボールを支配していたことが結果に繋がらないのがサッカーである。

 札幌の決定機は、2回あった。中原選手のループシュートと日高選手の1対1である。中原選手のシュートも決まれば今後もドバドバ決まるのだろうが、それまでが辛抱である。同じチームに小野選手が居るのだから教えを乞うぐらいの気持ちが大切である。

 

 札幌にも期待されながら消えていく選手は多くいて、彼が今後飛躍するなら結果を出し続ける必要がある。その山を越え更に上を超えて行かなければならない世界である。一年経てばまた若手が加入し、助っ人もやって来る。仲間内でやっているクラブチームでは無く、それで食って行くプロの世界はやはり甘くない。

 日高選手は、やはり長期離脱の影響で試合勘が悪かった。前半の急な出場であり、あの時点で疲れが出ていた。その気力を振り絞ってのプレーだというのは見て取れたが、あそこでフェイントを掛けてシュートするまでの心の余裕が無かったのだろう。

 もう一つ残念だったのは、工藤選手である。去年大学生のまま強化指定選手に成りチームに合流し、プロになっているはずなのに、今一つチームの戦術について行っていない。無駄走りが多いというか、連動性が乏しいのだ。

 そして後半の相手からボールを奪って前線にドリブルを仕掛ける際、相手のDFも体力的にきつい筈なのにスピードを緩めるシーンや、カウンターのチャンスに自分で行かずに周りの上がりを待ってスピードダウンする。

 あれなどは、FWとしての適性を疑うシーンである。ボールを失っても良いから自分が得点を決めてヒーローに成るくらいの強い気持ちが無ければプロとしては無理だろう。

 今季も終盤も終盤になり、札幌の先も見えてきた。開幕当時は、J1に自動昇格できる位置を狙っていたはずなのに、上手く行かずこの位置にいる。

 札幌というチームが常勝軍団に成るには、今年一年無駄にしてしまった。何故なら今のチーム力では、上がってもまた最短ペースで降格になるチームでしかないからである。上がっても残れなければ上がる意味は無い。

 今年は、残念でも来季につながるチームが今の時期できていなければならない。しかし、今の札幌は相も変わらずチームの基本が出来ていない。

 

 今季もパスサッカーを進めてきたはずなのにそれが大成せず、監督が変わってからは、前に放り込むカウンターのチームに変わった。結果を残すために戦術を変えたのは理解できる。今の札幌にはアイデアがないのでこの放り込みの方が結果を出すことはできるだろう。これを今年の初めからできていれば自動昇格圏に入っていただろう。

 

 しかし、この戦術がそのままJ1に上がっても通用するかというと素人目でもダメなのは判る。そんなにJ1リーグは甘くない。

 湘南も今季ぶっちぎりで上がるが、来季も今季の戦術が通用するかというと簡単ではないだろう。今季の湘南は、縦の突進力で相手をゴール前に下げさせ圧倒するゲームを行ってきたが、縦に攻めた時に裏のスペースを使われる可能性は、J2よりも高くなってくる。更に個人技に優れるFWが居るため、J2では止められた守備陣も止めるのに苦労しだすと、攻守の切り替えが難しくなり前と後ろが間延びする。失点を怖れず今の攻撃ができるならというところだろう。

 すると札幌はいよいよ今の実力、戦術で昇格しても下位を彷徨うだけである。昔の札幌と同じである。少なくとも型をもった湘南の方が上位に食い込めるチャンスは高い。

 もう一つ書いておくと、札幌がこの先J1上位に食い込めるチームに成るには、チームの核となる選手を作り移籍させないことである。その選手は多ければ多いほど良い。今までの札幌は、チームが生き残るために簡単に選手を手放してきた。財政的事情もあるが、出来るなら出て行かないで済むような体制を作らなければならない。

 そうでなければ何時まで経ってもJ1とJ2を行ったり来たりするチームにしかならない。全ての今季の試合が終わった後、来季へ向けてのチーム作りをどうするのか、松山プロジェクトが満足な結果を出せるのか、そんなことを考える時期に来ている。