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12月も半ばに差し掛かり、年の残りもわずかになってきた。今年を振り返るという企画をそこかしこに現れる。年間何とかという表彰も行われ、年が変わればそんなことが有ったのかと人の記憶からも消えていく。
そういえばという話題の一つが、3年前に起きた東日本大震災の時に言われた、復興と再生である。復興は言うまでもなく、壊されてしまった街や道路、鉄道を元通りに直そうという動きであるが、再生は、そういった物質的な復活では無く、人としてどう生まれ変わるかという話だった。
大震災は、言うなれば日本人への警鐘だった。今まで蟻のように大地に物を建て、色々なものを作り上げてきて生活してきたが、大きな波により一瞬のうちに消え去ることを、人間の力の及ばない所で人生が大きく変化していくことを学んだはずだった。
その時に、多くの日本人は、価値観を変えようとしたはずである。どのように自分たちの居場所を求めていくかを考えたはずである。
しかし、時が過ぎれば人の心の中からそういった生まれ変わろうという気持ちが薄れ始め、震災が起こる前と同様の、如何にお金儲けをして良い暮らしをするのかを考える毎日に戻ってしまった。
人生の目的はお金儲けだとするなら、その場その場の心の動きによって自分の行動が縛られることに成る。本来なら損をしても我慢すべきところであっても目先の金で心が左右されるなら、本来達成すべき目標を見失う事に成る。
今の世の中は、言ってみれば目先の金に心を奪われていた震災前に戻ったと言える。そのために本来なら未来を見通して自分の世代で損をしても仕方が無いと思える状況に有っても自分たちが良ければという選択肢が第一優先となるのである。
それが今の日本である。
原子力発電にしても、核のゴミの問題は何も解決策が無いままその問題解決は先送りし、目先の利益のために行動しようとする。
消費税にしても将来の日本の姿を想像した時に、社会保障の充実が今の現役世代の働くための糧となると思ったからこそ皆が受け入れたはずである。
この先、日本の景気は昔のような姿に戻ることは無い。何故なら昔の工業生産にライバルはいなかったからである。大量生産、大量消費の時代に上手く一人勝ちできたに過ぎないだけで、今後そのような状況に成ることは無い。
今のアベノミクスが描くような明るい未来は訪れることは無い。そこにあるのは、今の現状をどの程度まで永続していくかの方法を見つけるための修行のようなものである。
本当は、そういった人としてこの先を生きるのか、何を選択して生きて行くのかを考えるための「再生」であったはずである。
再生すべきものは人の心の筈であった。しかし、簡単に人の心は変えられないと学んだこの3年だったのかもしれない。