理想と現実

 晴れ、昨日の雨で雪解けが進んだ。ツルツルの氷が出た所は滑りやすく危険である。気温は2度。

引用 朝日新聞http://www.asahi.com/articles/ASH2P7KVZH2PTPOB004.html

日本最西端の沖縄県与那国町与那国島)で22日、同町への陸上自衛隊の部隊配備について賛否を問う住民投票があり、賛成が約6割を占め、反対を上回った。人口減少が続く島の活性化への期待に加え、政府が進める南西諸島の防衛強化に理解が示された形だ。反対する住民は、工事差し止めを求める裁判を起こすことも検討している。


 このように理想と現実があり、それを選択すること程勇気のいることは無い。どちらを選んでもやはり困難な事には変わりない。

 与那国島は、沖縄本島から更に南西にあり、今問題となっている尖閣諸島よりも台湾、中国に近い島である。その現実を、はるか離れた地にいる自分には推察するしかない。

 賛成派は、人口増と税収増で町が潤うことで島を活性化させる。反対派は、レーダーの電磁波による健康被害自衛隊が駐屯することにより戦争状態になった時標的にされる。という意見らしい。

 世界に与那国島しか存在しなければこんなことを悩む必要が無かった。何故なら攻めてくる敵は存在しないし、自衛隊の基地を置く必要は無い。

 与那国以外にも人は住み、そこに国がある。その国が与那国島を自分の持ち物にしたいと攻めてくれば、素直に自分達の島を渡すか徹底抗戦するしかない。もし、攻めてくる国が強力であればそれに対抗する勢力が後ろ盾になってくれなければならない。

 人間がこの世に生を受け土地を守れるのも100年が限度である。それを過ぎてしまえば次の世代に後を託すしかない。その後を託す人間が託す前に島を出てしまえばそれも難しくなる。

 理想は、今の暮らしを続けて行くことだろう。誰からも束縛されず自分に意思で暮らしていく生活である。しかし、その生活を維持するために誰かとつながる必要がある。それは、子孫を残す事であり、生活に必要な物資を手に入れることである。

 それが交易であり、昔からこの島に住む人たちは行ってきたのである。その人と人との交流から色々な物語が生まれる。静かに暮らしていた時期もあれば、貿易のハブとして栄えた時代もあった。その現実の中で、人々は自分たちで行先を選べた時もあっただろうし、力に屈服した時代もあっただろう。

 理想を求めることは正しいと信じられてきた。正義を貫くことで多くの犠牲が生まれることも厭わないという物語は数多くある。しかし、現実は理想論で語れない部分も数多く存在し、その狭間で人々は選択するしかない。

 薄っぺらな人生観で、この島の現実を述べることにうすら寒さを覚えるのは、自分が年を取ったせいだろう。あれだけ理想を追い求めることが幸福への手段だと思っていた若さが無くなったからだろう。

 人は、誰しも理想の世界があたかも存在するかのように思う時期が必ずある。しかし、理想の世界は理想の世界でしか無く、理想は、時として人を騙し、危険な道へと誘う。