対 長崎

 霧雨、気温は22度。


 土曜日の試合、CSで観戦。

 勝者のメンタリティーというのが内からも外からも欠けた試合だった。その結果が引き分けである。

 札幌はJ2に長く居すぎたのかもしれない。そのため自分たちの限界がどこにあるのかを自分たちで決めてしまいそこから抜け出そうとする勇気を持たなくなってしまった。

 その上まで駆け上がろうとする選手を補強してきたはずなのだが、その選手達もすべてを選手たちに伝えられないまま数年間が過ぎてしまった。

 負け試合や引き分け試合が存在するのは仕方がない。それは、どのチームも同じである。戦術的な引き分け試合もあるだろう。

 相手の長崎は、この暑い期間をしのぐためホームでありながら守備的に戦いを挑んできた。相手を自陣に引き付け、隙を狙ったカウンター攻撃である。監督自身、自分たちのチームがJ1レベルの力を持っているとは思っていない。極めて現実的に考えているのだろう。

 その反対に札幌は今シーズンの目標がJ1昇格というものである。そのJ1に昇格するにはと逆算的に考えこの辺で勝ち試合を増やさなければ昇格は無理な所に来ているというのが判っていて試合をしている。

 その両者の考え方の違いがこの試合の入り方に明確に出ていた。その結果が優勢に試合を支配し後は決定力があるか無いかの違いだけである。それは、今まで先制しながら相手に得点を許してきた最終的なツケがここにきて出てきた結果である。

 それは、自分たちが勝ちきることができないという弱さと、相手に得点を入れられると追いつけないという弱さが同居した形である。守備陣は得点をいれられまいとし、攻撃陣は何としても得点を入れないといけないという試合での思い込みのようなものが選手たちの足にブレーキを掛けてしまう。

 守備ではどうしても引き気味になるし、攻撃時には確実に点を入れようとしてゴール前で小細工をしようとする。その前と後ろの力関係のバランスを取る選手がいない。それは言うなればピッチ上の監督である。全員に勇気を与え、弱気に成ろうとする選手たちを奮い立たせるような存在である。

 残念ながら今の札幌にその役割を果たせる選手はいない。J1に上がるまではまだ時間が掛かりそうである。