対 金沢

 晴れ、気温は8度。先週雪虫が飛ぶのを見たが、今日、平野部に降る初雪の知らせだったようだ。雪虫の敏感さには恐れ入る。

 もう先週に成ってしまったが、土曜日、厚別にコンサドーレの試合を見に行った。年間での厚別での試合が減り、今年初めてだった。厚別競技場で大きく変わった電光掲示板を見たのだが、ドームのものより横が短いが映像は昼間の光の下でもくっきり見ることができた。あのお金は何処から出たのだろうとまず思った。そしてできることならサッカー専用球場に作り替えてくれたらと思うが、陸上と兼用なので陸協が許してくれないだろう。


 試合は、金沢が自陣で守りを固めカウンターあるいはマイボールに成れば時間を掛けずに攻め込むという、今年J2に上がって旋風を巻き起こした攻撃方法を取ってきた。

 あの速さに対して、簡単にいなすことはできず守りのミスが有ればゴール前にボールを運ばれる。この攻撃を防ぐにはある程度守備の選手をゴール前に待機させ受けるしか無く、それだけ攻めが遅れる結果に成る。

 その中で、相手の攻めを可能な限り摘み取ることに札幌の選手達は成功していたと言える。ただし、あの程度の速さはJ1では普通で、逆に自分たちが前半から守備に追いやられ数少ないチャンスに選手が上がった後相手にボールを奪われ短時間でゴール前に攻め込まれる。

 そこで守備陣が少しでもミスをすれば相手にそこを突かれ、ミスしなくともテクニックで交わされてシュートを打たれる。その繰り返しが精神的疲労を強め結局連敗が続く。

 

 だから金沢の速い攻めに参っている様では、J1に上がっても苦労するのは目に見えている。それがJ1への壁ともいえる。それでもここにきて、それに耐えれることが出来ているのだがまだまだJ1で勝てるチームにはなっていない。

 その一つがやはり得点力なのだが、その得点力のある選手が得点を決められなくなってきている。前半のバーに当てるシュートを放った都倉がその筆頭である。前半あれだけ好調だったのが偶々だったのかもしれないが、その好不調の波が丁度札幌の勝ち星と連動してしまっている。

 更にナザリトが期待外れで、内村もあの数年前の打てば入るという姿は無く、それに代わるかもしれないと思われた荒野や中原はシュートを打てず、それが誤算に成ってしまった。


 そしてここ数試合で得点を入れ始めているのが小野である。一人気を吐いていると言って良い。その姿勢が漸く他の選手に影響を与えようとしてきつつある。去年の後半に怪我をし、その後監督から期待されず、更にまた怪我と小野の存在がチームにマイナス影響を与え始めたように感じたが、監督交代と同時に起用され続けると徐々に調子を上げ連続ゴールに繋がった。

 本当にチームは水ものである。全てが完璧になることは無く、誰かが入れば誰かが抜けるそれの繰り返しで、今の状態は一年で一回くるかどうかの状態に近付きつつある。

 

 この状態で、選手が動いていければもしかすると6位以内は可能かもしれない。後、一つ勝てば選手に自信をもたらすはずで次の磐田戦が鍵になる。ここで完璧に負ける様であれば今年は6位以内は無理かもしれない。ある意味選手達にチキンレースをさせることに成るのだろう。

 

 試合の感想を書いていないが、ナザリトが漸くチームの為を考えるようになってきたのかもしれない。ただその意識に成るのにえらく遠回りしたし、何より結果が出ていない。その理由の一つがシュートするまでの位置取りが成っていない。相手DFにマークされたままそれを外す動きが全くと言ってできない。体力は日本人以上かもしれないが、それを交わすことはJ2で常時出場できる選手には必ず備わっており、動きに工夫を凝らさないと簡単にシュートまで打たせてくれない。その辺りの頭の良さが無いのは明らかで、適応に時間が与えられない外国人選手にとって致命的で解雇される理由になるかもしれない。

 その点パウロンは、漸くJ2の守備に慣れてきた。あの身長とそれに付随した脚の長さはJリーグで通用する。ただし、やはり故障がちなのが今後の課題となってしまった。

 深井も2戦連続先発で、後半足が攣って交代と中々フルで持つ体力に成っていない。やはり怪我の影響は大きいし、プレーがやはり消極的になりがちである。ボランチなのパスの一つ一つに意味を持たせる必要がある。それが味方選手に攻撃のスイッチを入れる役割なのだが、そのスイッチは最後方の河合が入れることが殆どで深井はボールのつなぎ役にしかなっていない。期待される内が花で、残酷だがそれが無くなれば消えていくだけである。

 もう一人の若手で先発出場した堀米であるが、彼も次の段階へ行けていない。そこそこの攻撃参加とそこそこの守備は行うのだが、そこから頭一つ抜け出すには、攻撃時のセンタリングの質であったり、守備時に相手ボールを奪い取る強さである。その2つが備わってくれば日本代表のサイドバックに成れるかもしれない。ここで満足していては成長は無い。

 最後にやはり小野選手であるが、このまま連続出場してどこか故障しないかと冷や冷やものである。彼が試合中に全力疾走した後、どこか怪我をして倒れ込まないかと心配してしまう。彼だけのんびりと歩く訳にはいかないことは判っていて全力で走ろうとする。もし彼がメッシのようにピッチの上をフラフラ彷徨っていたら監督も彼を先発に起用することができないだろう。そんな環境だから若手と同じように走る。その意味を周りが感じそれに負けないように走ることがチームを強くする。後半足が止まりお役御免になる選手が多い中、そんな弱みを見せないという思いで走る姿を尊敬する。

 人間諦めたらそこで終わりである。すべての結果が出るまでは望みはある。