ごまかしは人間の業

 晴れ、気温は4度くらい。今週は、先週の低気圧が抜けた後に入り込んだシベリアからの冷たい風に北海道は覆われてしまった。すでに寒さから言えば真冬の手前である。


引用 NHK(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151015/k10010270811000.html) 

横浜市のマンションで建物を支えるくいの一部でデータが偽装されていた問題を受けて、大手化学メーカーの「旭化成」は、この工事を請け負った子会社の旭化成建材が、これまでに手がけたマンションなど全国でおよそ3000棟の建物について、データの偽装が行われていなかったか調査することになりました。

 偽装問題、最近は東芝の粉飾決済から始まり、東洋ゴム旭化成建材と一時期姉歯の件でそれなりに世間一般がそういった偽りに対して不正はいけないという空気に成ったのだが、それもやはりのど元過ぎれば何とやらで、日本人というか、人間の性と言うかやはりそういうものから抜け出せないのだとつくづく思う。

 そのごまかしを行ってしまう最初の根拠が、決まりごとに対して検査を通り抜ければ問題ないという意識である。少しぐらいの誤差は許容範囲にしてしまえるし、その程度でのことで今まで問題になったことが無いという心の隙がいつしか、実際に検査を行う事をしなくても何の問題が今まで起きなかったという変な自信を生み。問題が起きなければそもそも無駄な事はしないという風に変わってしまう。

 この件について自分もそれを許容してしまう所があるのは否めない。しかし、その当事者に成ればそうとは言っておれなくなる。問題のマンションに住んでいれば何故そんな不正をしたのだろうと相手に怒りを覚えるのは当然である。立場が変われば怒りの強度は変わる。

 このことに関して不真面目だと起こるのは簡単である。しかし、自分が本当にそういったずるをしないかと言うとそうでは無い。そのずるが今回のように他人を巻き込むようなずるをしていない点だけである。

 今回のように検査した時は、確かにこの先建物が傾くことはないと思い検査したように偽ったのだろう。もしこの検査をしなかったことで建物が傾いたとしても何十年先の事と施行した人間は思っていただろう。ただし、今回は2007年完成だから、傾きが大事に成るのに8年要した。この時間が余りかからなかったのは、杭の多くが固い地盤に届いていないという事である。

 きっとこの偽装を始めたころは、1,2本の杭のデータを偽装だったに違いない。やがて問題が起きないだろうと高をくくり3分の1、2分の1と増え、もしかしたらすべてのデータを偽装していた可能性もある。施行した本人は、全てやらなくても問題は無い、先行のボーリング調査で何メートル下に固い地盤があると他の業者がデータをだしていてそれを信じれば何メートル杭を打てば問題ないと初めからそのデータを信じて工事をしてしまっているからである。


 今回、検査偽装で数年で建物が判ってしまった。これは施行した人間も予想の範囲外だっただろう。少なくとも2,30年は持つと考えていて損頃自分は他の部署に異動するか定年で退職していると思っていただろうからである。

 しかし、この問題、地震王国日本では簡単に済まされない。VWが検査を通り抜けるソフトを搭載した車を販売したことで会社が傾くほどの巨額の賠償金の支払いを覚悟しなければならなくなり、東芝は経営陣を一掃した(これに関しては株主訴訟がどうなるか未定である)、東洋ゴムも他の不正が見つかり再度調査を開始した。

 このごまかしの損失は、最終的には多くの人に損害を与え、きちんと業務を果たしていた時の費用を思えば数百倍の費用が発生してしまう。

 やはり、今後軽々しく不正を行わせないためには、人を信じるのは間違いであるという事に成るだろう。最終確認は部外者にやらせるなどの方策を取らないとならないが、その第3者が検査する仕組みに変えてもやはり不正は無くならない所に人間の業を感じる。