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 昨日は、テレビでバルセロナの試合を見たのだが、相手がバルセロナを勝てない相手と思い込み過ぎているように思えた。それがあの結果に繋がったのだと思う。

 その前の時間には録画しておいた広島の試合を見ていたのだが、3決に勝った広島とバルセロナを比較してみると同等と言う訳には行かない。もちろん決勝のバルセロナでさえ少し流し過ぎてギアトップに入ることが少ないと思うくらいで、本気のバルセロナを見ることはできなかったが要所ではきちんと試合を進める辺りは流石と思わせるに十分だった。

 そして比較しようと思う広島は、3決では、試合開始早々CKのこぼれ球から頭で押し込まれ先制を許すという前半は相手に攻めさせても良いから得点を許さないというチームのプランが崩れた格好だった。

 ただし、あのゴールは仕方なかったかもしれない。欲を言えばキーパーの林選手のボールの弾きが中途半端だったため広島の守備がボールに注意が行ってしまいマークできなかったという事だろう。更に、ゴール前のセットプレーでは高さが少し足りないという不利な要素が有ったことである。

 広島の攻めのプランはシンプルである。ゴール前の堅い守りから跳ね返したボールを素早く前線に送り、佐藤選手、浅野選手の飛び出しからチャンスを作る。それができない場合、左右のサイドバックを走らせ更に内から外に選手が張り出すことでその局地で数的有利な状況を作り出すことでチャンスを作り出す。

 これに関しては、バルセロナでも同様であるが、それに加え個人の突破力が優れているため相手が密集して守備をしていても正面から突破できるという凄さが加わることである。言ってみれば個人能力が優れている絶対的差があるのである。

 では、守備はどうかと言うとバルセロナは、相手にボールが渡った瞬間マンツーマンに変わる。バスケでいう所のオールコートプレスである。敵陣でボールを失ってもすぐさま奪い去ることが出来ればチャンスが広がる。更に交わされても相手にボールを持たせる時間を増やすことで味方がゴール前に戻る時間を得る。

 その守備をするため攻撃時のバルセロナの選手たちの殆どがセンターラインを越えている。そのため相手にカウンターを食らいやすく、バルセロナの失点はカウンターとセットプレーというように失点の仕方は何時も同じような形である。

 相手にボールが渡って自陣に戻っても守り方はシンプルでゴール前を固めると両脇ワイドの選手が相手のボール保持者にアタックを掛け続ける。これに関しては、どのチームも同じような守備をしているので変わりがないかもしれないが、違うのは、メッシ選手が前線に残っていることである。そのため相手チームも一人ないし二人を守備に割り当てざる負えず攻撃の厚みを失う事に繋がる。更にそれに加え自分たちのボールに成った途端、スアレス選手、ネイマール選手が速攻の姿勢を見せるため相手のサイドも後ろを常にケアする必要があり、それを怠るとたちまちカウンターの餌食に成るという心理的圧力を加え続けている。

 では、広島の守備というと、ゴール前を固め、相手にセンターライン付近のボール回しは自由にやらせることが多い。当然前目の選手はボールホルダーに圧力をかけ続けようとするが、最終ラインとの間が少し間延びしているためにそれ程圧力にはならない。

 また、Jリーグで試合をしていると大体攻撃の仕方は同じであり、選手の能力も一部の選手を除いてシュートの決定率は低いため、ペナルティエリアに侵入されるのを防げば得点を許すことが少ないという傾向がある。

 そのため、世界で戦うためには、高い最終ラインで相手のボールにプレスを掛ける守備が正しいのだが、相手がその最終ラインを抜け出すのを防ぐ守備力が低いため戻る時間を考えての守備ラインが必要で、その点広島は割り切ってゴール前に選手を固めているのだろうと思う。

 広島の3決の試合も、広州は広島の陣内である程度ボール回しが出来ていた。広州のバルセロナとの試合では、相手にボールが渡ると速攻があるため守備の選手の上がりが遅かったが、広島相手なら積極的にラインを押し上げていたことからも広島がかなり引いて守っていたことが判る。

 

 ただし、ボールがセンターラインを5M 程超えると積極的にアタックに行くようにはなっていたが、そんなに簡単にボールを奪えないのだが、それでも相手のパスミスを誘う事が可能であった。このレベルだとある程度のプレスを受ければボールコントロールを失いミスを誘発する。それが可能な相手が多いため自分たちのマイボールにすることも可能だが、バルセロナのように簡単にミスをしない相手だとそれができないため、どうしてもファールで止めなければならなくなる。あるいは、止めようとするとどうしても足がボールに届かず足に直接行ってしまうという事なのだろう。

 広島が国内では高いレベルでサッカーをやっているが所詮国内にバルセロナのようなチームは存在しない。そのため、ある程度のレベルで選手間の意思統一が出来れば勝てるチームにすることができる。しかし、本当にバルセロナに勝とうとするなら選手の個々のレベルの底上げはもちろん必要だし、元からできる選手を数多く抱えていた方が簡単である。しかし、チーム運営費に限りがあり、折角育てても選手は広島を出ていく。それを防ぐには、やはりビッグチームに成る必要がある。

 試合中のアナウンサーが広州の運営費が500億と言っていた。それが本当なら何故もっと強いチームが出来ないか不思議なくらいである。それが出来ないのも中国人の気質なのかもしれないが、その経費を何十年と投資し続けることが出来れば必ずアジアではナンバーワンのチームができることだろう。

 日本にそういったビッグチームが複数できるのは何時の頃に成るのだろう。