U-23アジア選手権

 晴れ、気温はマイナス10度。

 土曜の深夜にオリンピック予選兼アジアカップの決勝戦が行われた。当然、眠くて見られないだろうと思い録画して置き、普通に布団に入り、目を覚ましたところで追っかけ再生で見た。

 試合は、日本代表の悪い所が全て出た感じで始まる。

 ワントップに入ったオナウイは、ボールを受けるがトラップが大きすぎマイボールにできない。またオナウイの周囲に味方が居ない孤立した状態だから尚の事上手くトラップしても直ぐに囲まれボールを奪われる。

 前線でボール保持が上手く出来なければ相手の攻撃を怖れて前に上がれない。そのためより一層前と後ろの距離が空く、その間に相手選手が入り込みボールを回すとそれに釣られてボール側に選手が集まるため逆サイドが空く。確かに数的優位に経ち相手ボールを奪えれば文句はないのだが、その数的有利な所で守備のミスをすれば相手に有利になるのは当たり前。

 最初のゴールは、岩波が相手のシュートをブロック行こうとせずキーパーに被ったため。ただのボールウオッチャーに成ってしまったから。上手い選手は、あそこで体を当てに行く。

 大会を通じて日本のディフェンス能力の低さが目についてしまった。相手のボールに対して行くべきところと待つべきところの感覚が欠如している点である。球のコントロールは上手くなり技術的には遥かに昔より上手くなったのだが、相手に体をぶつける預けるの力加減が出来ない。日頃の練習で相手に体を寄せて奪い取るという激しさが無いのだと思う。

 

 練習中に激しく行くと怪我をさせる気かと喧嘩に成ると聞く、練習で怪我を怖れるのは判るがそのすれすれの所で訓練を積まないと上手くならない。その辺り、選手生命が絶たれるような怪我をしたくないという気持ちも判るし、チームとして選手が怪我ばかりでは試合に勝てないというチーム事情も分かるが、そのぬるさが弱くなるのは痛しかゆしである。

 一番良いのは、ファールせずに相手のボールを奪い取る技術を身に着ける事である。その点を忘れてはならない。

 上の続きに成るが、今回MVPを中嶋選手が受賞したが、大会を通じて通用していない部分も多い。相手がサイド突破を警戒して数的優位で囲まれた時に強引にドリブル突破しよと何度も試みていたがやはり通用しない所が多かった。相手に体を寄せられれば簡単に跳ね飛ばされていた。レベルが上がれば上がる程、簡単には抜けない事を理解し次にどうやるかだろう。メッシもゴリゴリドリブル突破を試みるが全て成功するとは限らない。失敗しても体の向きを変えながら相手の寄せをファールにさせてしまう事が出来る。簡単に倒されないことも必要だが、どうしてもという時は、ファールを取ってもらう動きをしなければならないだろう。そうなれば、相手も慎重になり、今度は逆に抜きやすくなる。

 試合は、それでも相手のシュートミスもあり前半を0-1で終える。見ていた時点で相手に攻め込まれてアタフタした印象しか無かった。

 そして後半開始と同時にまたも相手に決められて0-2とした時点で、日本の負けかなと思い始める。そして眠気も出て来たのでそこで早送りしてしまった途端左上の数字が2-2になっている。慌てて巻き戻して見始める。

 巻き戻した時点で相手の応援団は勝ちを予想して観客席でウェーブを始める。それを見ながら同点にされるのにと思いながら見ていたのは、追っかけ再生した自分の勝ちである。

 相手のチャンスが続いた後、さすがに前半の圧倒的攻めでスタミナ切れを起こし始める。それを見透かしたように日本は浅野を投入する。そこからドラマが始まる。一本のスルーパスから浅野が抜け出すとゴールキーパーと1対1になり上手く浮かせてシュートを決める。そして、直ぐに左サイドを抉りセンタリングを矢島が見事なヘッドで同点とする。

 この短い時間での同点劇が相手の意思を挫いた。相手も攻撃に出るが、その前目の意思が功を奏し、またもや浅野があいてDFとの競り合いに勝ち逆転ゴールを決めてしまう。そのまま試合を終わらす結果となる。


 この大会を通じて特筆すべきは、選手の体調管理だろう。連戦を勝ち抜くために選手を入れ替えながら疲労を抑えたことである。メンバーを固定して戦ったA代表のアジアでの失敗を糧にしたような見事な選手管理だった。更に言うと、代表に選ばれた選手の能力がどんぐりの背比べだったのも功を奏した結果に成った。

 下手に先発と控えに能力差があると交代で使いにくいが、代表の選手達に差が無ければ後は体力が相手との差につながる。準々決勝、準決勝と体力で相手を圧倒できたことが勝利のポイントだった。

 オリンピック予選は、前の試合で獲得し、選手たちに気のゆるみがあるかもしれないと心配したがそれもなく大会を通じて選手間の結束が高いように見えたのは良いことである。選手の中に和を乱す行動を取るものが数名居ればチームは壊れるそういう意味で、優等生が集まったと言える。

 試合を終えて帰国した代表であるが、また新たなスタートが始まる。J1、J2での活躍を見せつけなければまた代表に選ばれることは厳しくなる。今回代表から漏れた選手の中からリーグで活躍する選手が現れれば何人かは交代するだろうし、OA枠を入れることに成れば確実にその門は狭くなる。

 疲れているだろうが、これからまた勝負の時間が始まる。