札幌ドーム問題

 曇り、気温は13度。少しひんやりしている。

引用 日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXLASDH18H13_T20C16A5MM8000/) 

プロ野球北海道日本ハムファイターズが新球場を建設するため、候補地の調査を進めていることが23日わかった。札幌市が所有する札幌ドームからの移転を前提に、同市内やその周辺など15カ所をリストアップ。今後具体的に選定する。自前の球場を持つことで収益力を高める考えだ。

 以前にも何度も書いたのだが、札幌ドームはハムに明け渡しコンサドーレは、専用サッカー場を建設してもらいたいと願っていた。以前からハムは、札幌ドームに対して注文を付け野球専用にしてほしそうな姿勢を見せており、その野球専用に邪魔なコンサドーレを見下していたように見えていた。

 確かに、北海道内でハムの人気は凄い。北海道民のチームになろうとしてる努力はコンサドーレも見習うべきだと思う。彼らは彼らで、球団を生き延びさせる方法を考えていたのである。

 プロ野球チームは12球団あるが、それぞれ親会社が居て経営が傾けば簡単に身売りされてしまう。更に、本拠地も身売りされてしまえばどこに移転するかわからない。そうならないように自前で球団を運営できる力を付け親会社が会社を売ったとしても黒字なら次のスポンサーに全てを従う必要は無くなるわけで、スポンサーは金を出すだけで良いということになる。

 野球などは、ファン層が高齢化している点ではこの先の経営という点では苦しく、方向性を変えていかなければならないという思いが如実である。その点サッカーは、大元は地元の自治体が絡んで設立されたところが多く、ある意味経営については素人に近い。しかし、地元に密着した姿勢は野球より強いのでその強みを経営に生かす努力をしていかなければならない。

 その点でいえば、漸くコンサドーレも社長が天下りではなくなったところから改革が始まったといえる。それまでの歴代社長が悪いというわけではないが、あくまでも仕事は雇われ社長の域を出ることは無く営業努力も左程発揮してこれなった点が、ハムと差がついた理由だろう。

 しかし、社長が野々村氏に変わり、この先生き延びるために何をしなければならないのかという点が明らかになり、漸くコンサドーレも生き延びる方法を考え始めた。その戦略の一つが、日本代表経験者をチームに入れるということである。

 それは、河合、小野、稲本という3名をチームに加え成功したといえる。今度の目標が、やはりサッカーを見に来てくれる人を少しでも増やそうという努力である。それが、ホームゲームのTVHでの中継である。道内は広く札幌まで見に来れない人は大勢いる。見れない人がスカパーを契約してまで見ようという人は少なくそれなら別のことをするという人が大半だろう。

 更に、現状では北海道民全てコンサドーレというサッカーチームが今どのリーグにいて順位が何位だということまで知ることは無いだろう。それは、自分で探さなければ順位を知れない環境にあるからである。

 ハムなどは、道内民放が朝の番組で詳しく情報を与えてくれるため、ハムのファンでなくとも知らずに頭に入る状況で、大谷が活躍しているのだなと興味が無い人でも知っているところに強みがある。

 興味がなくとも知らない人はいないという状況を作り出すには、やはり目や耳に気付かないうちに入るような情報の氾濫が必要であるということである。そのため、スポーツといえばハムという刷り込みに成功している。

 その情報の刷り込みのためにやはりチャンネルを合わせれば見ることのできる民放やNHKの放送が大事なのである。今のところ視聴率的には苦戦しているだろうが、放送が無いよりずっと良い。そこで興味を持たせれば札幌に足を運ばせることができるし、永続的にコンサドーレに興味を持ってくれることだろう。そのきっかけをどうやって与えるかだろう。


 そうしたファン層拡大のために、本来ならハムとコンサドーレの観客を共通化させることがコンサドーレにとっては重要である。野球のように毎日来てくれるファンが居るのだからその観客が札幌で試合が無いときに見に来てくれればドームは満員になるからである。

 しかし、ハムにとってはコンサドーレの観客数が1万5千程度という点から見てメリットは少なく、穿った見方をすれば道内民放のスポーツの放送枠を独占したいくらいの気持ちがあるのだと思う。ハッキリ言葉にしないが目障りな存在に感じていることだろう。本音は、道内のプロチームはハムしかないと道民に思ってほしいと願っているだろう。

 本当に道民球団を目指すなら親会社の日本ハムという名称を取るべきだと思うが、赤字を補てんしてもらう関係ではそうおいそれとできないことは分かっている。

 話は長くなってしまったが、ハムが8年後にドームを去るというのなら、それが決まったことを前提にコンサドーレも考える必要がある。コンサドーレだけではドームの年間維持費を賄うわけにもいかず、維持するのは何か別の方法が必要で、考えられるのは、ジャニーズ系やその他の歌手のコンサートを定期的に開いてもらうか、あるいは他のプロスポーツチームの試合会場にしてもらうかである。しかし、フットサルやバスケにはロケーションが遠すぎるので工夫が必要で何らかの改造が必要になるし、レバンガなどは既にキタエールを本拠地にしてしまっている。

 結論でいえば、ドームはコンサドーレだけでは維持できないということである。それは、もし浦和が本拠地にしても難しいだろう。

 降ってわいたドーム問題、もしかするとハムもドームに圧力を加えてこの考えを出したのかもしれない。ドームが折れてハムに譲歩すれば、逆にコンサドーレが本拠地問題を本格的に考えなければならなくなるかもしれない。ドームは器としては十分だが、少し大きすぎる点は否めない。本来であれば収容人数2万人ほどの専用球場がベストだと思う。果たして、今年J2で優勝し、J1で常時2万人以上を集められるチームにならなければならないとしたらもっと大変な努力が必要だろう。