豚のすい臓

 雨、気温は17度。朝からジメジメしている。

引用 日本経済新聞http://www.nikkei.com/article/DGXMZO03309620X00C16A6000000/) 

臓器不足を解消する手段として、ブタなどの動物の細胞や組織をヒトに移植する「異種移植」が注目されている。これまで感染症を防ぐ指針によって事実上、実施できなかったが、厚生労働省の研究班が5月27日、異種移植の指針を緩和した。3~5年後にも国立国際医療研究センターや、福岡大学などがブタの膵臓(すいぞう)の細胞を使った人工カプセルを1型糖尿病の患者に移植する臨床研究計画が実現する見通しになった。

 4月に厚生省の研究班が異種移植の見直しを検討し始めており、既に方針転換する予定であったが、正式に見直しがなされ実用化されることになった。豚の持つウィルスが人に感染するのではないかという恐れがあり2001年の指針では認められていなかった。

 豚の膵細胞を人に移植することは、20年くらい前から考えられ人に移植する試みをしようと申請されてきたが、その頃安全性を担保するものが何もなかったため見送られてきた。

 人に対する安全性はハッキリしたことは言えないが、昔医療に使うインシュリンは、豚のインスリンから作られていた。更に、この薬を既にアルゼンチンで人に投与し安全性の確認をしている。

引用 毎日新聞http://mainichi.jp/articles/20160407/ddm/016/040/027000c

大塚製薬工場のチームは、糖尿病患者に豚の膵島(すいとう)を移植し血糖値が下がるなどの有効性が示されたとの臨床研究を日本再生医療学会で発表した。

 対象は、血糖値を下げる「インスリン」を作る膵島の細胞が失われる1型糖尿病患者。脳死で提供された膵島を移植する治療法があるが、インスリン注射が一般的だ。同社は、赤ちゃん豚から採取した膵島を、ニュージーランドやアルゼンチンで計24人の患者の腹部に投与量などを変えて移植、症状の改善がみられた。

 特に体重1キロ当たり細胞1万個を2回移植した4人のグループでは、2年以上血糖値が改善するなど効果が高かった。重い副作用はなかったという。

 1型糖尿病は、日本人で2万人ほど存在すると推定されている(確かな数字は無い)。そもそも1型は、生まれつきインシュリンの産性が少ないタイプである。そのためインシュリンを体外から体内に入れる必要がある。その患者の方々にとって朗報といえる。

 今後の推移を見るしかないが、1型糖尿病の患者で有効なら2型糖尿病の患者にも有効である可能性は高い。成人の多くが掛かる糖尿病は生活環境が豊かになればなるほど増え、更に寿命が長くなればなるほど発病してくる病気である。

 糖尿病患者が増えることで多くの医療費が必要になるものだった。しかし、この移植が普通に行われるようになれば、国民の医療費の削減につながるだろう。それゆえ国もこの見直しを積極的に行う理由にもなる。