保護主義

 雨、気温は5度。昨日からの雨で家の前の庭の雪は10cmくらい減ったのではないだろうか、午前中はこのまま気温が高く、その後は急速に冷え込む予想である。何となくの感じだが、このまま大雪は来ないような気がしてきた。


引用 日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27899450Z00C18A3000000/

トランプ米大統領は8日午後(日本時間9日未明)、鉄鋼とアルミニウムに輸入制限の発動を命じる文書に署名した。それぞれ25%、10%の関税を15日後に課す。全ての国に適用するが、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉を進めるカナダとメキシコは当面猶予する。日本を含む同盟国も米国との交渉次第で関税を解く余地を残した。

引用 産経新聞http://www.sankei.com/economy/news/180309/ecn1803090016-n1.html

日本など環太平洋連携協定(TPP)参加11カ国は8日午後(日本時間9日未明)、チリの首都サンティアゴで米国抜きの新協定に署名した。米離脱から1年余りで巨大経済圏づくりが最終合意に達し、署名式に出席した茂木敏充経済再生担当相は記者会見で「アジア太平洋の貿易、経済成長を促進する」と意義を強調した。各国は2019年の早い時期の発効を目指し、国内手続きを進める。

※参加11か国は「オーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,日本,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,ペルー,シンガポールベトナム

 世界は常に静から動へと揺り動く。戦争であったり異常気象であったり、落ち着いたと思えばやはりどこかで変化の兆しを見せる。休まることは無い。

 今回の鉄鋼、アルミニュウムは、中国を抜きにしては語れない。中国国内の建設投資が落ち着きビルなどの建築資材である金属材料が余り出したことによる。

 

 社会主義経済の欠点である計画経済の罠にはまり、年間の生産量を決めたらその量を生産する仕組みを止めることは習近平でもできなかった。国内で余った鉄鋼は、国外で売られることになるのだが、その際、売れれば良いという値段付けをされてしまえば他の国の鉄鋼産業に影響を及ぼす。

 日本もその例外ではないのだが、日本は企業努力の名のもと対抗してギリギリまで値段を下げて売ろうとするためそれなりに値段は下がる。翻ってアメリカは、そういった努力を行う前にロビー活動で自分たちの利益を確保しようとする。それが今回の関税に現れた。

 自由主義経済の価格と生産の調整は、概ね需要と供給で決まるため、売れなければ生産調整をおこなう。その力が働くため価格の変動が長期的に見れば少なくなる。

 社会主義の国家は、年間の生産量をまず決めるため需要に応じた生産量の調整が働かず、更に企業は概ね国営に近いため赤字になっても操業を続けてしまう。今の世界の工場と化した中国が社会主義国家であることが大きなポイントである。

 トランプは本気である。自由主義経済を捨て保護主義に軸足を置くことは大統領選の時から分かっていたことである。その公約を果たしたに過ぎない。トランプはアメリカ一国で生き延びれると考えている。

 その中でのTPPである。この辺りが今後日本にとって難しさを増すことは必至である。その一つは、この協定が上手くいき、協定国が一つの経済圏として上手く動き出したときである。アメリカにとって他の国の経済がどうなろうと構わない。アメリカの利益があれば力を貸すし、アメリカの利益にならないと思えば必ずつぶしに来る。

 

 アメリカにとって日本は、家来のようなものである。対等の国とは考えていない。その目に見える現実は、日本にアメリカ軍が駐留していることである。

 今の日本にとってアメリカがジャイアンであることを望んでいる。それが今の日本にとって都合の良いことだからである。しかし、未来永劫アメリカの属国として生きることを望むわけではない。何かきっかけさえあればアメリカと対等の立場でものが言える国になりたいと考えている。

 

 しかし、今はジャイアンの後ろにいるスネ夫のような立場でいるのが得策である。それは、今世紀に入ってアジアの雄となろうとしている中国に対抗する手段の一つであるからである。

 しかし、TPPは日本とアメリカのひいては中国との関係も変えうるものになるかもしれない。それは、日本が持つ数少ない手札の一つである。

 もしかするとTPPに参加することがアメリカの理にかなうと考えればアメリカも加わる可能性があるが、今は保護主義に傾いた流れを変えるにはトランプが次の大統領選で落選するか二期目を過ごした後のことになるだろう。

 自由主義経済の原則からすれば、保護主義によりアメリカは富を失う。本来安く買える原料を高く買わなければならないからである。はじめは良くともこの先何年も続ければアメリカの経済は弱体化するだろう。

 

 どちらにせよ日本の選択肢はさほど多くない。選択の道によっては茨が待っている可能性も高い。