国民の祝日

 曇り、気温はマイナス12℃.北海道上空には寒気が居座り冷蔵庫状態である.この時期北海道に来るには防寒の準備をしている必要がある.

 今年のゴールデンウイークの時期は、例年と違い、4月30日に退位の礼があり(この日は祝日ではなく祝日法による祝日)、5月1日には即位の礼、5月2日は、祝日法により祝日となり10連休になる.更に祝日となっている12月23日は、現天皇誕生日ではなく元天皇誕生日となることから祝日になるか未定で、即位する予定の皇太子の誕生日は、2月23日なので来年以降はそちらが祝日になるのは決まっている.

 来年以降、5月1日の取り扱いが気になるところだが、今年限りの祝日と決まっているので来年以降も10連休になることはない.となると現天皇天皇誕生日がそのまま祝日になるかどうかが気になるところだが、もし祝日にするのなら国会で祝日法案を通してからとなるので今年は平日になることが決まっている.実は、これは自分も知らなかったのだが、10月22日(即位礼正殿の儀の行われる日)として今年限りの祝日になる.だから、今年の天皇誕生日が無くとも祝日は実質一日増えている.

 そのため、会社などで社員の休日管理をしているような場合、手動で休日を追加しなければならない可能性があるので、システム管理者は注意が必要である.

 毎年、国民の祝日が増えていくのは良い面と悪い面がある.今年の10連休などは、国民の大半が暦通りの休みを取ることになるのだが、当然、そのために休まず働かなければならない人が増えることになる.会社は、社員に休日に仕事をした分の代休を与え時間外勤務代を払うことになるが、休日対応で利益が出るかというと利益はでないだろうから、5月の売り上げは落ちる会社が増えることだろう.

 日本は、伝統的に仕事があれば休むことを知らないで生産に励んできた.伝統的に有給休暇を取らない人が大半を占めている.本来なら有給休暇は労働者に与えられた権利でありそれを行使するのは当たり前なのだが、全社員が有給休暇を取れば仕事が回らないだろう.会社は、社員が有給休暇をすべて消化しないことを前提に社員を雇用しているところが多い.
 そのあたりのことは、日本が「ジャパンアズナンバーワン」と言われた時に、日本パッシングの材料にされた経緯がある.外国からの批難を受けて有給休暇所得の励行ではなく国民の祝日を増やすことで労働時間の減少を図ろうとした.労働時間の減少は、先進国の仲間でいるには必要な要件だった.

 国民の祝日の増加は、ある意味需要と供給にアンバランスを付加する.国民の大半が休むのでそれに対応する労働力が必要になる.更に需要がその時期に集中するため本来稼働しなければならない部分も稼働しないか、逆に過剰に稼働しなけれなならないという場合もある.国民が一斉にそういった行動を取らなければ平均的に稼働できるのにできないのは損失である.短期的な労働力の過剰と無駄に対応するために、アルバイトや期間雇用が増えるのだが、それに対応しきれていない.国民が一斉ではなく、自分たちの都合で休むようにすればそういった弊害は防げるのだがその時にそれを考えることができない社会状況であったのも事実である.

 自分としては、これ以上の国民の祝日の増加は止めたほうが良いと思う.国民が一斉に休みを取るという習慣からやはり脱却すべきだろう.できるなら雇用環境の改善を行い有給休暇の取得率を上げることを目標にすべき時に来ている.今後若年労働者の人口が減ることが判っているのにそれを見越して対策を取らないのは日本の産業構造に影響を与えるし、国民の幸せ度にも影響を与える問題である.