これは他山の石

 曇り、気温は14度.肌寒く、日中は雨が降るようだ.

 

 

mainichi.jp

 

 今頃何を言っているのだというニュースなのだが、「働き方改革」という幟によって掘り起こされた問題である.

 大学の無給医は医学部が出来てきたときからあった.それは医学も徒弟制度のようなものが息づいており、学ぶため経験を積むためという名目があった.

 大学も雇う人数には定員という限りがあり、それ以上の人を雇えない.雇ってもらわなくとも学びたい人は勝手に医局にいて仕事をしているという形になり、名目上医局員という肩書で存在していた.

 無給の代わりに市中の病院の当直をしてその月の収入を得ていた.その程度の話は、小説や漫画にも詳しく書かれていた.

 

 確かに仕事をさせて無給というのは、道理から外れていたが、それは昔ながらの住み込みで働いて技術を盗み、やがて独立するという昔からの親方と弟子という関係性がそのまま続いていたわけである.

 

 しかし、そういった伝統的な働き方が否定されてきた昨今では研修医制度というものができ、無給で働く研修医は存在しなくなったわけで、それ以前の状況をほじくり返せば問題は山盛りに出てくるのは仕方がない.

 

 この記事を読むと無給で働かせて酷いという感想を持つ人は多くいるだろう.しかし、その当時の医師も選択肢があり、民間病院に勤めればそういった無給状態は少なくとも無かったはずである.無給医師はそれを拒否してその道を選んだともいえる.

 だから、この記事のようにセンセーショナルに書かれることに違和感がある.

 

 例えば5,60年前の時代に医療がどういった状況だったのか、そして今の姿になるまでの時間を考えるべきである.そして、医師の働き方を言うなら他の職業のことも併せて記事にすべきだろう.この記事を載せている新聞社も徒弟制度のような仕組みがあり給料にならない残業時間があっただろう.そういったものをすべて補償の対象とするなら許せるが、実際はそんなことは出来っこないし、したとしたら日本経済は破綻していただろう.

 そんなことを書くとバカなことを言っているといわれるだろうが、少なくとも今の自由な空気は、そういった人たちの生き方の中で得られたものである.