対 名古屋(H) 3-0

 晴れ、気温は0度.朝日がまぶしいくらい雲がない.

 

 ドームで土曜日に行われた試合、残念ながら用事があり参戦できなかった.ルバンカップから1週間後の試合どれだけの人がドームに来場するのか気になったが1万9千人以上の人が来たらしい.喜ばしいことである.

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 試合の詳しい内容は書かないが、札幌の立ち上がりは決して良いものではなかった.その理由は、開始直後の名古屋のパス回しに振り回され中盤は、相手がコンサドーレのボールになるときっちり引いて守るを繰り返したので、コンサドーレにはゴールをこじ開けるチャンスは無かった.

 それでも先制点をとれたのは、CKの時、深井選手がノーマークだったことである.それは名古屋の作戦だったのかそれともミスだったのか判らない.ゾーンとマンマークの組み合わせはコンサドーレもやっていることなので左程珍しくないのだが、ゾーンの中で相手の選手をフリーにすることは防ぐ必要がある.とはいってもコンサドーレもゾーンの中にフリーで飛び込む選手をカバーできずに失点することは良くあることで、これはCKの守備のほころびと言える.

 

 そして、1点は先制したが決して名古屋を圧倒して取った点ではない.相手の前田選手がこの日は切れていて何度もコンサドーレの守備陣を混乱に陥れていた.先制した後も前田選手の動きから決定機を迎えられたが相手のミスにより得点を入れられなかったという状態だった.

 

 この日の名古屋は、前半と先制された後の守備についてははっきりしていた.開始早々は全員が動き、風間流のパス&ゴーを繰り返し、試合が落ち着くと攻撃に係る選手と守備に係る選手の役割分担が明確になっていた.コンサドーレが先制する前の名古屋はゴール前を蓋をしてコンサドーレの攻撃を跳ね返すことが出来ていた.何が名古屋の得点を妨げたと言えば、前線と守備との距離感だっただろう.あれだけ離れていると持ち前の技術があってもパスミスやパスカットでボールを失うことが増える.

 ジョー選手のワントップもボールを収めるのだが周りの動きが少なくて良いチャンスを無駄にしていた.前回大敗した名古屋戦の時のようにコンサドーレの守備陣の中で斜めの動きを繰り返し混乱に陥れた攻撃は出てこなかった.あの時の動きがあればこの試合のコンサドーレの調子から言えば勝つのは容易だったかもしれない.

 

 いわゆる幸運な先制点の後もやはりコンサドーレの攻撃に恐ろしさは無かった.鈴木選手とロペス選手のコンビネーションは悪く、チャナティップ選手のラストパスも味方につながらずロストする場面が多かった.

 

 その流れが変わったのは、交代で入ってジェイ選手の動きである.ジェイ選手が担うポストの役割を外された鈴木選手の動きはそれまでよりもよくなったし、コンサドーレの選手も窮すればジェイ選手に目掛けてボールを蹴ればよいという安心感が生まれたと思う.それだけ攻撃に対する思考がシンプルになればそれをアレンジするような攻撃も生まれる.それまでは鈴木選手、ロペス選手にボールを預けても上手く綱から無いのではないかという恐れが大きかったのではないだろうか.

 

 それまで我慢して耐えていたコンサドーレも名古屋の同点にしようとして無理に押し上げた守備陣の裏を使ってカウンターを繰り出すと、空いたスペースに走りこんだ鈴木選手を相手の吉田選手が倒すというシーンを生み出した.

 

 2点目をとり、更に左サイドで重要な役割を果たしていた吉田選手が抜けたことでコンサドーレは余裕が生まれた.それでも相手の攻撃の圧力に負けていた部分もあった.それは、コンサドーレの選手の慢性的に蓄積された疲労からによる切れの無さが原因である.

 

 その後相手の攻め疲れからマークがゆるくなり、コンサドーレのパスのつなぎからルーカス選手が留めの一撃を加えてゲームはそのまま終了した.そして、相手の名古屋は勝ち点を持ち帰ることが出来ず残留争いの渦中に留まることになった.

 

 この試合を振り返ってみると決してコンサドーレが楽に勝てる相手ではなかった.CK、PKというある意味ラッキーな得点が無ければ勝利したのは名古屋だったかもしれない.調子の落ちたコンサドーレに対してきちんと調整してこの試合に臨んだコンディションの差は大きかったはずである.最低勝ち点1は持ち帰る算段をしてコンサドーレに立ち向かっていたのはゲームを見ていてもそう思う.

 

 上にも書いたが決定機を逃した部分、一つはジョー選手が輝きを失っていたこととあのFKのサインプレーを外したことに尽きるだろう.ジョー選手のお相手は今回は長谷川選手だったが、もしこれがシャビエル選手だったらもっとチャンスを作り出していたかもしれない.長谷川選手が悪いというわけではなく、ジョー選手の周りを突かず離れずにいる選手ではなかったことである.それだけ孤立していたということに尽きる.

 

 結果は3-0の圧勝だったが、点差ほど実力は離れていなかった.コンサドーレを応援している身としても、鈴木選手、ロペス選手のコンビネーションの悪さは目も当てられなかったので、付け入る隙は十分にあり、それが出来なかったことが名古屋の敗因である.残り四試合、J1残留と4位以内が消滅したが、目的を失ったチームがどう戦うのかそのあたりが心配でもある.