異常から平衡へ

 晴れ、気温はマイナス11度.気温は低いので何時もの冬なのだが、雪がこれだけ少ないと驚いてしまう.この先大雪で帳尻を合わせることになるかもしれないが、今年は異常と言いたくなる.

 気象の分野で異常というのは、例年並みの範囲を大きく超えることである.だから、数年間がその前の数年間と明らかに変わっていれば異常という言葉を使う.庶民的な感覚ではどうしても去年と比較してとかいつもと違うというような感覚で異常という言葉を使ってしまうがそうではないらしい.

 もしかすると来年は、通常通り雪が降りそれが数年続けばこれは異常ではなくたまたま起きたもので誤差の範囲内ということになる.

 しかし、現実には日本列島周囲の海水温が上がったり、偏西風の蛇行が強まったり弱まったりする頻度は大きくなったと思う.この動きは、これまでの排出するエネルギーの場所がある程度固定されていたものが、新しい場所で新たなエネルギー排出が起こり、地球上のエントロピーが変化したからである.

 今まである程度均衡が保たれたものが変動し、その動きが今の異常に表れているということである.そして次の平衡にたどり着くまでの間、この変化が続く.

 例えれば、お湯を入れた浴槽に一人じっと入っていたところに誰かが入ってきたことでそれまで落ち着いていた湯船のお湯の均衡が崩れ熱さを感じるようなものである.

 しかし、その平衡状態が以前の形の平衡状態に落ち着くわけではない.その過程で温度が上昇したり下降したりする可能性が出てくる.その平衡状態によって人間生活が可能かどうか決まるわけである.

 こう書くと何となく穏やかの変化に感じるが、その変化の過程で大きなエネルギーの移動があるのでそれなりの大きな災害は起こってくるだろう.それに対応する社会を築くのは並大抵の努力では不可能である.対応できないところは地上から消えてしまうことも考えられる.