自由

 小雨、気温は17度.強い風が吹き始めている.これから強い雨風が吹く嵐になるようだ.道路を歩くと落ち葉が風に乗って手裏剣のように飛んでいく.

 

仏の教員殺害、7人を本格捜査 テロ犯協力容疑で中学生も

 

 脅迫に屈しないと大勢の人が立ち上がっているが、やはり普通の人は、これを話題にするのは控えるようになる.暴力に屈するわけには行かないが、自分がその標的になることを恐れるからである.これはテロリストの思うつぼに嵌っているわけである.

 

容疑者は学校前で生徒たちに探している教師がどれか教えろと パリ近郊の教師殺害 - BBCニュース

 殺害された高校教師は、言論の自由の授業でイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を例として提示しただけである.しかし、イスラム教の教徒にとって耐えられない侮辱と受け止めた結果、生徒の親が騒ぎこの事件が起こった.

 「ペンは剣よりも強し」とい言葉がある.どんな凶器を使われても言論人はひるまないという例えで、剣に倒れてもその意思を引き継ぐものが現れ、ペン(言論)をもって戦うという強い意思を示したものである.

 最近、「学問の自由」という言葉が使われたが、自由という言葉の意味は深い.誰かの自由を守るため人対人の小さな争いは起きるし、時には国対国の戦争が起きることもある.

 自由という言葉は尊いが、ある人にとって自分の自由を守ることが相手の自由を奪うことも起きる.歴史的に見れば「自由」というものを勝ち取るのは勝者だけである.敗者は、自分達が望む自由は制限される.

 「自由」を維持するのは、簡単ではない.その自由という価値観は、共同体の中でしか通じないものもある.他の共同体からすれば異端とされてしまう場合もあるだろう.その共同体が遠く離れた地に有れば諍いは起きないが、今はその共同体の中から人が行き来できる環境にあり、共同体の中に他の共同体の人が移り住むことが増えてきている.その混じり合いが増えれば増えるほど共同体の中の自由を維持することが困難になってくる.

 フランスは、早くから移民を受け入れてきた.既にイスラム圏からの移民も国民として暮らし始めてから相当の年数がたっているし、古くはアレキサンダー大王のようにヨーロッパから中東までを広く征服した時には、多くの人が移民あるいは奴隷として移動してきた事実がある.

 日本も未来の人口減に向けて積極的に移民を受け入れるべきという論があるが、日本という共同体の中に別な共同体の人が入り込むことにより、個々の人が考える自由が侵害されることも出てくることだろう.他の日との自由を尊重するために今まで自分たちが享受してきた自由と言うものが制限されることは覚悟しなければならない.