ウイグル問題は踏み絵である

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 ユニクロの会長兼社長の柳井氏が1週間ほど前に述べた「政治的に中立な立場でやっていきたいので、政治的な質問にはノーコメントだ」であるが、グローバルに展開する一企業がこの問題に言及しないのはいかがなものだろうかと思ったのだが、その話は、やがて「ユニクロ」のブランドを身に着けていると中国寄りとみられる風評被害が起きるのではないかと思う.

 企業を経営する者の判断は、企業の生き死にを懸けていると言っても過言ではない.経営者の手本として話題になる人物であるが、そろそろ賞味期限を過ぎてしまったということだろう.成長期の企業はどういった判断にするにせよいうなれば尖った思想が必要である.例えば、今回なら中国を信じていると言うとか、反対ならそういった事実があるなら取引を止めるだろう.大きな企業の先頭に立つ者ほどその言葉を求められるのは当たり前のことである.

 今回、「中立」という言葉は、ある意味停滞期に入った企業が述べる言葉であろう.この人の先は無いのだろうと思う.何故そう思うかといえば、自分が発する言葉の責任を取れない年になったということである.人は老いれば自分の発する言葉に責任を取れない時期がやがてやってくる.それは端的に言えば老化である.大きな企業を永続的に続けていくには、その企業が社会に受け入れられる思想が必要である.中立という言葉は、ウイグルで人権侵害があったとしてそれに間接的に与していても見て見ぬふりをするという宣言と同一である.確かにユニクロにとって中国は大切な商取引の相手であり、これを失えば企業として死活問題だと判る.それは素人からしてみても明らかで、中国から締め出されれば会社も行き詰る可能性が高い.更に言えばこの判断によって他の多くの顧客が失われるかもしれない.そう考えれば、どこの足場を作るかの選択である.どちらを選んでも得をしないのなら生き残れる道を選択したと言えないこともない.

 こういう意味で、日本政府も政治的に中立の立場を貫いていると言えなくもない.ユニクロ以外にも日本の大企業は、今後踏み絵を迫られてくる.その踏み絵を踏み間違えば企業の存続にかかわる場合も出てくるだろう.しかし、根本的に変わらないことは、自由社会があって今の企業が存続するということである.もしその社会が終われば、自由主義経済の中で生きてきた企業は存在しえない事態に陥る.この社会を守ることが決断の重要ポイントになる.