医療関係の個人情報保護の話

個人情報保護法の完全施行が、後1ヶ月に迫りました。

 病院関係については、厚生労働省が別にガイドラインを定めそれに沿って医療機関は職務を行ってくださいという事である。

 医療機関だからといって、個人情報に違いは無く。インターネット上の個人情報の扱いと同様に、個人情報を入手する際は、こういう用途に使いますよと了解を得て使いなさいということは変わりありません。
 
 ただし一般と違う所は、個人情報のなかには、患者さんに知らせなくても良い部分があることが違うところです。患者さんの治療の妨げるような個人情報(検査結果など)は、病院或いは治療する側の判断で開示しなくても良いというところです。
 
 一般の個人情報取扱事業者(5000件以上の個人情報を取扱う事業者は全てこう呼ぶようになっています。)の場合、収集した個人情報は、開示の請求があれば開示しなければなりません。
 
 それが医療の場合、全てを開示する必要はないことになっています。ただし個人情報保護法以外の部分で、刑事裁判、民事裁判など裁判所の求めに応じて診療の記録などは開示しなければなりませんが、それは、刑法、民法の定めるところになります。

 また、医療機関で問題となってくる部分は、治療していた患者さんが死亡してしまった場合、或いは意識不明の重体に陥り自分の意思を述べれなくなった時です。
 前者は、死亡した者の場合の扱いは個人情報保護の対象にならないためその扱いは別な法律に依存するのですが、意識不明の患者さんの場合の個人情報は保護の対象になるため慎重に取扱わなければなりません。
 従来でしたら、家族が身内の方でしたら、その家族の申告を信じ患者さんの容態や今後の経過などは説明してきたのですが、今後はそのようなルーズな取り扱いは出来なくなります。
 医療機関の個人情報の取り扱いにおいては、事前に本人から説明する家族の範囲を聞いておくことが事前にできない場合、医療機関の判断で病状を家族或いは親族に説明して良い事になっているが、その判断を誤れば、患者本人或いは家族に影響を及ぼす個人情報を漏らしてしまう可能性がある。
 普段の状況でそういったことはまず起きないのだが、その万が一の場合のケースに遭遇した場合病院の責任が出てくる可能性がある。

 今までの医療機関が、患者さんの治療を行うためにという大義名分で医療を行ってきた感は否めない。そのため、患者さんに本来公開すべき情報も公開せずに隠蔽してきた歴史がある。
 しかし、今後はこういうことが許されなくなるという事を医療関係者は肝に銘じ医療に携わらなければならないと思う。