寒い朝

どんよりとした雲が空一面を覆い、それ程厚い雲ではないのに今にも雨が降り出しそうな予感を漂わせている。

 6月も終わりに近づきこれでもう1年の半分は過ぎたことになる。それが早いか遅いかは人それぞれが持つ感覚なので何ともいえない。
 機械の1秒は、同じだけれども、人それぞれの1秒は伸びたり縮んだりする。ある人にとって時間はあっという間に過ぎてしまうだろうし、ある人にとっては時間は永遠に止まり続けているように感じるのかもしれない。

 セミの鳴き声が、耳に突き刺さるような夏の日、あの夏の日は何時の記憶だろう。そしてその瞬間からどのくらいの時が流れたのだろう。それがつい昨日なのか、それとも何十年前の音なのか自分の脳内では区別をつける事ができなくなってしまった。

 そして今日という一日の記憶もまた脳内の片隅に保存され、そのうち今日という一日がどういう一日だったかが思い出されなくなるのだろう。

 今日はもしかしたら忘れられてしまう一日になるのだろうか?