巻き髪

晴天が続いている。青空の中に、綿布団から綿をつかみとり空に放り投げたような綿雲が浮かんでいる。更にそれとは別に、巻き髪のようにくるっとカールした巻雲が浮かんでいる。中国では、オリンピックが行われており、既に女子のサッカーの試合が昨日行われた。試合は引き分けのよう。内容はダイジェストを見ただけなので良くわからないが、2点のビハインドを追いついたのだから相当タフな試合をしたようである。この大会の中で、何人かのスター選手が生まれるのだろう。そして、華やかなスポーツの祭典として連日TVで放送される。しかし、その華やかさが前面を覆う中で、色々な灰色や黒色に染まった部分は覆い隠されてしまう期間でもある。その華やかさがキラメク程その反対側にあるどす黒さから多くの人の目をそらし続けるわけである。今回の、中国国内で起きた餃子中毒事件もその一例である。回収された餃子が闇に紛れ込みそこから再び排出され被害を起こす。今回は、餃子の形をしていたため、毒物に汚染されたあの餃子だとわかったが、もしかすると他の姿に形を変えてまたそれが出回る恐れもある。そうなると正にババ抜きをしているようなものである。いよいよもって中国製の冷凍食品に手を出しにくくなる。更に原材料を輸入し国内で加工したものは、国産の称号が与えられるため更に安全な食品の見分けが付きにくくなるわけである。TVで冷凍食品の餃子をタレントが美味しそうにほおばっているが、それもが胡散臭く思えてくるから不思議である。世の中に表も裏もあるのは、これだけ生きてくれば百も承知である。明るい場所には影という暗い部分がありそれが表裏一体の関係にある。全てに公明正大を求めても叶わないのはそういった部分が隠れているからで、それで社会が廻っているのである。若い頃、友人と酒を飲みながら論争したことを思い出す。100%清潔であれば世の中が良くなるのかと。それを端で見て青臭い意見と一笑に付され程に議論はヒートアップした。そんなの判っていると心の中で呟きながら、「人は正直に生きるべきである」と主張し続けた。その結論がどうなったかわからない。外の青空は、遥か永遠まで続いているように澄み切って見える。しかし本当は、その奥に真空の闇が広がっていることを知っていながら見ない振りをしているだけなのだろう。生きていくとはそういうものだと思う。