既に根ぐされ状態

少し灰色がかった雲が空一面を覆っている。昨日の大雨はすっかり乾いてしまった。それでもあの雨で、草木は緑色を一層増している。
 日中晴れ間もでるようだがおおむね曇りはこのまま続きそうである。

 物価が上昇しているが、それに比べ労働の賃金は抑えられている。抑えられていない分野は、輸出が好調なところだけで、そのほかの分野は低賃金のままである。
 更に地方は、ガソリンの値上げがもろに家計に響いている。
 都会なら、車社会と言えども交通網が発達しており、どこに行くのにも地下鉄、バスなどが利用できるが、田舎に行くとそうとはいかない。まずコンビニに行くにしても自動車、勤めに行くにも自動車と言うように必ず自動車を利用する。
 北海道なら一軒の家に自家用車が家族の人数分あるところも珍しくない。そんな地方では、今回のガソリンの値上げは家計を直撃している。
 
 都会のようにバスは近くを走っては居ないし、JRの駅は、歩けば30分から1時間の所にあるというのはざらで、そのJRの路線そのものが無いところも一杯ある。
 そのため自動車は必需品なのだが、その値段が1.5倍以上になったのだからたまらない。勢いそのほかの経費を切り詰める必要がある。

 例えば、食事、今まで外食を週に1、2度していた家庭も、月1,2になり、娯楽も控えるようになる。そうすると何がおきるかというと、それで売り上げを上げていた店が閉店することになる。
 本州の巨大資本が入った店も、不採算とわかれば直ぐに撤退を始める。その店が進出したためにはるか昔に商店街の灯は消えているわけだから、その店が無くなれば町には店がなくなってしまうことになる。
 それが田舎の現状である。

 日本の町や村で元気なところは、ごく一部だろう。地方の富は都会に吸い上げられたといってよい。もう再生する力も僅かしかない状況である。
 日本の政治は、自己責任の下、色々な部分を切り捨ててきた。景気回復の旗印のもと、競争原理を最優先にしてきた。優良企業は力を伸ばし、不良な部分は見捨ててきたのである。
 もともと体力のない地方の企業は軒並み大企業に吸収されてきたわけである。そしていっせいに大企業が益出しを始め、地方から撤退しだすと後には荒野原しか残ってはいなかった。

 これから地方にとって生き残りをかけた戦いが始まる。しかし戦力となる若者は都会に取られ、生きの良い人間は少ない、更にお金は無く借金の山を抱えていては身動きできない状況にあるといえる。そして地元の土木建設関係は、公共事業の削減で息も絶え絶えときては、どこに再生の活力があるのか問いたい状況である。

 日本は、既に地方から荒廃しているのだ。その姿に目を瞑ってきたのが今の政治であり、官僚達だともいえる。
 
 息も絶え絶えの地方だがまだ間に合うかもしれない。その方法は、業績好調な企業の工場を海外に作る場合、日本にも同程度か半分程度の規模の工場を作らなければ海外進出を認めないようにすればいいのだ。
 それなら日本を抜け出す企業が沢山出ると心配しても仕方が無い。既にその企業は日本の企業ではないのだから。
 もし、日本の企業だと言う自負があるなら、少しは日本のために貢献しようと考えるはずである。それができないなら勝手に出て行けというしかないだろう。

 製造業を日本に取り戻さなければ日本に明日はない。