トヨタF1撤退

 曇り、夜中に降っただろう雨のために路面には水溜りが出来ている。空一面に灰色の雲が広がる。そんなに冷え込みは厳しくない。とはいっても一度先日のあの寒さを経験しているためで、それなりに冬に近づく寒さの範囲である。

引用 日経新聞http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20091105AT1D0409S04112009.html) 

トヨタF1撤退発表、本業に資源集中
 トヨタ自動車は4日、自動車レースの最高峰フォーミュラ・ワン(F1)から今年限りで撤退すると発表した。同日都内で記者会見した豊田章男社長は、車両開発費を含め年間数百億円の負担を軽減し「本業に経営資源を集中させる」と語った。2002年の初参戦以降、トヨタはブランド力向上のためF1に力を入れてきたが、イメージより業績回復を優先せざるを得ないと判断した。

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 去年日本のメーカーとしてホンダが既に撤退しており、一年後トヨタもこれに続いた。この判断はホンダの方が賢かった。トヨタは世界一のプライドが撤退を躊躇させたのだろう。

 F1は以前からそうだが、ヨーロッパのお遊びであった。最初ホンダがF1に参入し撤退、そして再参入した時の勝利の影響がここに来て出たともいえる。ヨーロッパ貴族のお遊びとして自分たちの領分を荒らす東洋の国のメーカーは、自分たちの仲間ではないと感じたのだろう。その後どんどんレギュレーションを変え、日本のメーカーを苦しい立場に追いやった。そしてホンダがエンジン供給だけで細々とやっていた時代が続いた。
 
 そして、ホンダ、トヨタと日本のメーカーが再参入したのだが、思うような結果を残す事が出来なかった。ノウハウが不足していたのか、日本のメーカーの技術力が他より抜きん出ることが出来なかったのか、それ以外の何かがあったのか、ついに優勝を飾る事は出来なかった。

 ホンダ、トヨタのF1参戦とは別なところで、自動車産業は転換期を迎えてきていた。それはエコという単語に代表される、省エネルギーと言う名の技術革命を促すものであった。
 時代は徐々にガソリンから他のものへと見えざる力で転換をうながしていたのだが、自動車産業は、自分たちの優位性を保つためにその転換を怠ってきた。

 本当はそこで、未来の自動車を作るため電機メーカーなり異業種が参入して来ても良かったはずだが、日本は、色々な部分で異業種の参入が妨げれてきた。
 
 この先、自動車或いは未来カーの先導に立つのは、今の自動車を作るメーカーではなくなる可能性がある。例えばSFなどでよく見る光景の未来カーは、タイヤで走るのではなく空を自由に飛びまわるものである。それは、必ずしも自動車の姿をしていない。
 もしそういった別の原理で移動できる乗り物が出来れば、正しく自動車の時代が終わるときである。自動車業界は、今その淘汰の時代を迎えているといっても良い。もし世界のどこかでSFのような未来カーが開発されれば、一瞬にして個人所有の乗り物としての選択肢がそれに変わることなるだろう。そうなればガソリンで走る自動車などという乗り物は見向きもされなくなる。

 それは、F1というモータースポーツがすでに時代遅れになってしまったということである。技術力、開発力が試されなければその未来は無い。

 日本の政府としても、日本の誇れる産業が自動車と言っていられる時代はもう少しで終焉を迎えると考えていた方が良い。既にその目は何年も前から徐々に現れ、それが覆る時は既にそこまで来ている。
 いままで、売れる事を良い事に古い技術に胡坐を掻き新しい技術を生み出すことを意識的に怠ってきた結果である。だけれども数年前まで日本の自動車メーカーがこのように成る事を誰が想像できただろうか?