みかん

 今日は冬至なのだが、生憎の雲が空を全て隠してしまっている。朝日は顔を出すことはなく、日の出の時刻は不明である。やはり今日も寒さは同じである。

 今年は、みかんが豊作らしい。スーパーの軒先では箱入りのみかんが売られている。正月といえば、みかんとお餅が定番であった。
 しかし、その日本の定番も徐々に変わりつつある。その一つが各家庭で既に餅つきと言う風習が消えてしまった事。更にみかん自体も一年中スーパーなどで売られているため、お正月だけに出てくる果物ではなくなってしまったことである。

 そのため、お供えの鏡餅はプラスチックで包まれ、みかんは腐らないようにおもちゃのみかんにに変わってしまった。
 
 その昔、みかんは大きな箱入で買い、競うように食べなければ底に入っているものはいつの間にか黄色や白、ハタマタ黒や緑のカビが生えていたものである。そこから「腐ったみかんの法則」が生まれたことは誰でも知っていることである。

 本当にみかんを食べ過ぎると指が黄色くなった。それは、一種お正月の勲章のようなものだった。そういった季節感が乏しくなったことは残念である。
 スーパーに買い物にいくと、お正月近くになると箱入りでみかんを買いたくなる。しかし、腐ることを恐れて網に入ったみかんしか買ってくれないことが多い。それも合理的なのだろうが、その合理性で何かを失ってしまう。

 みかんを売る人も、お正月だけではなく、一年中供給すれば収益が上がると計算して、ハウスなどで作り始めたのだろう。
 しかし一年中あれば食べたいときに食べれるという心理を消費者にもたらしたのではないだろうか。それゆえ却って消費を減退させた様にも思える。
 更に売れるとわかれば競争相手も増える。作りすぎはやはり売値を下げることになる。結局行き着く先は、農家一人当たりの所得はやはり同じになってしまうことになる。
 もしかしたら、今後みかんは、お正月にしか食べられない果物に戻した方が消費は多くなるのではとも思うがどうだろう。これも予想はできない。