秋深し

 青空が広がっている。外に出ると太陽の光が眩しい。気温は、この時期の気温である。

 

 今年も何時の間にか残すところ後3ヶ月となった。暑い暑いと思って早く秋にならないか願っていたのに、急に涼しくなったと思ったらもう少しで冬がやってくる。

 時間の経過は、全ての人に平等である。その一日の過ごし方に濃度差があったとしても時間は同様に過ぎていく。

 

 この季節、何だろう心が余り浮かれない時期でもある。それは、12月末日が人生の終わりとすれば、この秋は、残りの人生の少なさを実感できる季節に違いない。その同じ気持が心を沈ませることになる。

  人間の人生は、所々に大きな穴の開いた階段を登っていくようなものである。その階段は、登り始めの一段が凄まじく幅広く落とし穴も決して多くないものである。しかし、一段一段登るに連れてその幅は狭くなり、落とし穴も増えてくる。更にその傾斜は、登るものによっては急になったり緩くなったりする。

 

 もしその階段を離れたところから見ることが出来れば、丁度その姿は、富士山のような形に見えることだろう。まあ言ってみれば、人間は生まれながらにして登山をしているようなものなのかもしれない。

 その頂きが眼に見えるようになれば残りの人生も少なくなったと思うようなものである。ただし、その頂きには決して到達することは出来ない。

 

 などと物思いにふけるのが秋であるし、それを何度も経ることで悟りの境地に近づくものが居る。またその一方、それをなんども経ることで却って厭世に陥るもの出るように成る。それは、考える生き物として生まれた人間の性でもある。