札幌 vs 北九州

 当日厚別に試合を見に行ってきました。

 曇り、予報では午後から雨という中、試合を見に厚別に向かった。天候の悪化を予想したか、或いは最近の成績に見る意欲が失せたのか、夏休み中の日曜日にしては、観客は6千人台と今季の赤字を予想させる観客数である。ちなみにドームで行われた日ハム戦は4万人だったらしい。

 厚別は、最寄の交通機関からの駅から遠く、今ひとつ交通の便が悪い。更に車の駐車場が皆無で車で乗り込むことが出来ない。今の車社会の状況から言って交通の便から言えば最低ランクに値する。

 厚別競技場自体の雰囲気はそれ程悪くはないが、周囲は閑静な住宅街だけ有って飲食関係の店は殆ど無く、コンビニも無いという状況である。それだけに競技場内の飲食関係が充実しているかといえばそうでもなく、相変わらずの品揃えで誠に持って貧弱この上ない。

 でも自分は、この競技場は好きである。それは、コンサドーレ札幌が出来てから永年ホームスタジアムにしてきた歴史があるからである。

 もし可能なら、この競技場をサッカー専用に作り替えて欲しいのだが、更に公園周囲のサブグラウンドを地上はグラウンド、地下は駐車場なりにして、車で来れる環境にしてもらえれば言うことはない。ただし、今の状況ではそれは叶わぬ夢だろう。せめて札幌がJ1に上がってもらえればそれも言えるだろうが。

 試合に関係の無いことを長々と書いてしまったが、試合前半は、見るべき点は殆ど無かった。相変わらず攻めが遅く、相手に帰陣されゴール前を固められると得点の匂いすら感じさせず、ただミドルシュートをアリバイのように打ち、適当にゴール前にボールを上げるだけに成る。

 あれだけ両サイドから華麗に攻めこむのに得点チャンスを生まないのは、やはり攻撃の速さだろう。相手より数的優位に立つことをしなければ、メッシの様な選手が居ないチームは勝つことは出来ない。

 そして札幌に言えるのは、攻撃で相手陣内にゆっくり攻めこみ、相手にボールが渡ると戻りが遅く相手に有利な形を作らせてしまう。本当に攻守の切り替えがワンテンポ遅れ、それにDFに心の余裕がなく慌てた守備をすることである。
 前半、それが見事に表れ、北九州にビッグチャンスを作られる。相手のシュートがポストに当ったり、シュートを外してくれるという幸運がなければ、相手に先制されその後逃げ切られるという何時もの試合展開になっていたところである。

 そして前半が終り、後半に突入する。この暑さでバテたのは、何時も暑いところで練習している北九州の方だった。前半あれだけ走ってもまだ札幌は足が動いていた。そして、運良く相手のパスミスを岡本選手が奪い、GKの頭の上を抜くループシュートを決める。
 すこしボールは大きく上がったので、見ている方は上手くゴールに吸い込まれることを祈る時間があった。

 そのあと、今季途中加入の高木選手のシュートが決まり2−0と試合をリードする。その後の相手の攻撃も迫力がなく、後半最後に途中交代したゴン中山選手がどフリーを豪快に外すシュートを打ち試合終了。中山選手にはシュートを決めて欲しかった。永遠のライバル三浦カズ選手が最高齢シュートを決めてしまったから。

 試合には、勝つことができた。しかし、負けてもおかしくない試合。両チームに差は殆ど無く、J1で戦ったことのあるチームと思えない戦いぶりを繰り返している。見ていて本当に下手くそなチームだと思う。
 
 更に去年積み上げた戦術が今年実を結ぶかと思えば、それもなく、チームの戦術が徹底しているのは、サイド攻撃だけ、何の工夫も進歩もない。守備も故障者が多いための準備不足という点が非常に大きいのだが、何の脈絡もない札幌伝統のワンワンディフェンスだより。
 足が止まれば為す術も無く相手に蹂躙されるの繰り返しに終始する。

 体力さえあればまだしも、その下地作りはどのチームも同じように行なっている。札幌だけが特に体力に自信のある選手ばかり集めたわけでもなく、それなりの選手ばかりなのだから、他チームより走り切るのは至難の業である。
 攻撃も、パスドリブルなどの技術に優れた選手を集めたわけでない。それなりのレベルの選手の集まりで、それなりの技術しか無い。
 それでは、どこに活路を求めるかといえば、やはり監督の技量でしかチームを勝たせることは出来ない。

 その好例が、モンテディオ山形の小林監督だろう。あの札幌より弱小チームだったチームを曲がりなりにもJ1で生き残るチームに仕上げたのだ。札幌でさえ2期連続が最高なのに、あっさりと3期目に入り、山形をJ1で生き残れるチームに仕上げてきた。更にそれ盛り上げるバックアップ体制が山形に有るのだろう。

 では山形と比較して札幌に足りないものはどこにあるのだろう。選手個々のレベルから言えば、札幌が山形に劣る点はどれくらい有るだろうか?全くもって雲泥の差はないだろう。

 チームの資金力はどうだろう。もしかしたらチームスポンサー料は、札幌の方が上かもしれない。運営会社の体制は、どの程度の差があるか全くもって判らない。しかし、その当たりに強さの秘密が隠されている可能性がある。

 最後に監督の能力の差は、どこにあるか、その差は選手を使いこなす能力だろう。それは適材適所と言って良い。選手の能力以上の無謀な戦術を使わない。堅守速攻一本槍と言って良い。選手間の能力差を無くすためにはそれが最善の方法である。
 それが判っている監督とそうでない監督の差だろうと自分は思っている。選手が能力以上の結果を出すことは稀にある。しかし何試合も続けてその能力を発揮することはない。それを理解した上で試合をこなすのか、最高のパフォーマンスを前提に選手を起用し、それを求めて試合を準備するのとでは、やはりチーム自体に好不調の波ができやすい。
 
 守備は、好不調の波が有ってもそれなりに最低ノルマを果たせば、相手に得点を入れられることを防ぐことができる。しかし、攻撃は好不調の波が大きければそれなりの得点しか奪えないことが殆んどである。それを最初から判った上で割りきって試合に望むかどうかである。

 正直言って、石崎監督のサッカーは、ユース年代ならそれなりに選手を育てることができるだろう。勝敗は2の次で選手を育てる為に一つの枠に型を嵌めこみ、それを徹底的にやらすことで成長を促すことができる。

 しかし、トップチームでそれが本当に可能かというと、それはとんでもない間違いで、傍から見れば何の戦略を考えないで猪突猛進しているようにしか見えない。勝ち試合は正しく運で勝っているだけ、負け試合は、能力通りの試合をしているだけである。

 昨季、今季と若手を充分に活用しているのは判るが、選手の能力の伸び代が余りにも伸びない。はっきり言って伸び悩んでいるのが有り有りしている。
 却って札幌から外に行った西選手のほうがその能力の伸びは目覚しい。札幌の水はそれ程選手たちの能力を奪うのかと思うと寂しい限りである。

 既に来季の監督交代が明らかなら、もう今から来季の監督に交代して欲しいと思う。それでなければ来季にも間に合わないほど、チームの能力は低下していると思う。

 札幌に金は無いと言うが、今季の赤字を考えるとそんなことも言ってられないのではないだろうか?今季レンタル移籍中の選手、西選手とダニルソン選手の移籍金が赤字の穴埋めに使われるおそれがある。そっちの方が監督より札幌の損失である。

 生え抜き選手が残らないチームに未来は無い。そうやって札幌は自分たちの財産を今まで食いつぶしてきたのである。