喉元過ぎれば

 薄曇り、その雲の後ろに月が白く輝いている。寒さは、昨日より格段にしのぎやすい。それでも零下なのは間違いない。

 
 ことわざに「喉元過ぎれば熱さ忘れる」という言葉がある。これは、本当に真理だと思うことが多い。

 例えば、鍋の取っ手を掴んでやけどしてしまったことがあり、何時も慎重に取り扱っていたのに、しばらく経験していないとまた同じことをしてしまう。

 そういったことを自分でも経験するたびこのことわざを思い出し、人間としての情けなさを痛感する。
 人間痛い目に合い、その痛さを経験しているのに何故その痛みを受け入れようとするのだろうか?

 これだもの犯罪を犯して罰を受けても再犯を繰り返すのも当然と言えば当然である。更に犯罪者は、その行った犯罪の手口は得意とするところなのでその能力を再度利用することになる。
 上手く事が運べばそれは成功体験になり、失敗は、次の犯罪実行への糧となるから始末に悪い。

 もし、人間の精神がコンピュータのように論理化された回路で作られていたなら、その失敗は、一つの禁止事項として処理されるだろう。
 危険なところに近づくなという事である。しかし、人間は敢えて危険に挑戦するように逆にDNAに記録されているらしく、今までの文明の発達も敢えて危険なところに挑戦することで獲得したともいえる。

 こうして日常生活でやけどや擦り傷を負いながらこれからも暮らしていくという事である。ただ、余り繰り返したくないことではある。