芝生の目土

 小雨と風が強い朝である。傘をさしても風がその持つ手を揺らす。風が一瞬息をついたところが危険となる。傘が保つか風が勝るか持ち手の技量が問われるところ。朝から疲れてしまう。


 昨日は、快晴で気温も高くなったが、如何せん風が非常に強かった。それでも日曜日にしようと一週間前から計画していた芝生の庭の手入れを行った。

 一冬越した芝生は、先々週辺りから顔を出し、徐々に緑の芽を出し始めていた。この時期に目土を入れると一年きれいな芝生が生えそろう。

 目土は、芝生専用の目土が売られているが、それより安いただの黒土を購入する。量は、芝専用が18L、ただの黒土が16Lと少し異なるが販売価格は黒土がおよそ半額である。

 何が違うかと言えば、芝生専用は、黒土の中に火山灰と砂がブレンドされ水捌けが調整されているが、別に黒土と性能は大差ない。

 本来なら、芝生の根切りをしてからが良いと思うのだが、長年繰り返していると、手間の割に、やらない場合と比べ余り変わりが無いと分かった。あまり変わりがないなら手間がかからない方が良いので、それはここ数年省略している。

 また本来なら、5,6年経つと芝生の全面張り替えが必要となる。何故なら古い芝生の枯れた根が芝生の通気性を悪くして成長に勢いを失わせるからである。

 芝生をはがすと良く判るが、5,6年も経つと、芝生の根が分厚く成長し土の中でからまっている。これだけ密に根がからまってしまうと新しい根が土に直接届かないのは道理である。それを救うには、はがして新しく張り替えると芝生は本当にきれいになる。

 でも、その作業を業者に頼まないで自分で行うとなると大変な作業である。全て手作業で全面をはがすこと自体、一日では終わらない、また剥がした芝生の後処理も大変である。それらをなるべく避けるためには、やはり目土を入れる作業はとても重要なことである。

 目土は、普通ビニール袋に入れられ売られている。それを開けて芝生にどのように入れるかと言うとコツがある。一番良い方法は、買ってきた黒土を一度、テント布のような大きなビニールの上に広げ乾燥させることである。

 この時、芝生用の肥料を混ぜ合わせると非情に良い。そして乾いたところで、その土を篩で篩いながらまくのが一番正しいまき方である。

 一番ダメなのは、買ってきて直ぐ袋を開けてそのまま芝生の上に広げてしまう事である。そうすると芝生の上にまいた土が均等にならず厚い薄いができてしまう。厚く撒かれたところは、芝生の芽が埋まってしまい、中々芽が出ず、薄いところは雨や散水で流され目土の意味がなくなってしまうからである。

 そこで少し手を抜く方法は、袋から園芸用のコテを使い掬い取り、腰くらいの高さから芝生に土を振り掛けるように撒くのである。そうすると程よく芝生の芽と芽との間に土が入り込み、撒いた土の間から新芽が顔を出してくれる。だから芝生に撒く量は、芝生の新芽が顔を出す程度で良いだろう。すべて隠れるほど撒いてしまうと中々そこから芝生が顔を出さなくなってしまう。

 その後は、風や雨、散水で土が流されないように少し踏み固めて行く。その過程で、靴底で芝生の面が凹凸にならないように慣らしていくと良い。芝生は、年数が経つと足跡や雑草を抜いた後で芝生の面に高低差を生じるからである。また、その際に肥料を撒きながら行うと、程よく土に肥料が混ざり芝生が土から芽を早く出す効果が高くなるのでお薦めである。肥料は、園芸用の物でも良いし化学肥料でも良い、また芝生専用として売られているものがあるのでそれを使うと良いだろう。しかし、肥料の撒きすぎは、音の成長を遅らせてしまうのでほどほどにするのが良い。撒きすぎてしまうと肥料やけで枯れたり、成長しすぎて肥料を与え続けないと途端に勢いがなくなってしまう。これは充分に根が張らず土から養分を補えないからである。

 

 芝生にまいた土を踏み固めたところで、土が乾いて飛ばないように少量の水を撒いてやると良い。そうすることで土がなじむようになる。ここでも余り沢山撒きすぎると、折角撒いた土が水の勢いでまばらになってしまうから注意である。

 この方法続ければ10年ほどは、芝生を張り替えずに済む。ただし、張り替えるよりは、芝生の密度は落ちるし、雑草も生えやすくなるので手入れは、やはり必要になって来る。

 芝生の手入れで一番面倒な作業は、雑草取りと芝生刈りである。

 芝生の雑草は、生え始めると毎日次々と出てきてしまい、これを手で作業すると根負けをしてしまう。更に、手を抜くとあっという間に雑草畑になってしまうので、芝生を止めてしまう原因にもなる。せっかく育てた芝生が見るも無残な姿になるとそれだけで庭いじりが嫌いになる。

 それを防ぐには、以前にも書いたが、芝生専用の除草剤を使うしかない。これを使えば2,3か月に一回の散布で一年を通して雑草抜きの手間を殆ど無くせてしまう。

 環境への影響を考えるなら、やはり農薬の使用を避けたいところだが、芝生を一般家庭で維持しようとするなら必須かもしれない。もしその使用がいやなら手作業で抜くしか方法は無い。それをやり始めると切が無くなってしまうことを覚悟してすることだろう。

 あとは、芝刈りだが、この手間を減らす方法は無い。芝刈り機を使い毎週行う。この時、芝刈りの手間を減らそうとするあまり、芝生の根元のすぐ近くから刈りすぎると芝生全体が白っぽくなってしまう。

 やはり、芝生を青々として見せたいなら根元から5cm程度で刈り取るのが良いだろう。そうすると少し芝生に隙間が有っても全体が緑色に見えて見栄えが良い。その代り毎週芝刈りしないと直ぐに伸びて芝刈りがしにくくなってしまうから注意しなければならない。

 ここまで書いたが、やはり芝生の手入れはそれ相応の手間がかかる。美しいと思う芝生の庭を作ろうとすれば、やはり毎日手入れが必要である。もし、密度の濃い芝生の庭を維持するには、最初に書いたように最低5,6年で芝生を張り替えないと、芝生に隙間が目立つようになる。

 

 普通の家庭で、芝生の手入れを普通にしながらある程度の見栄えを維持するには、上に書いたような手入れが絶対必要となる。それを毎年続けるには、ある程度の手抜きをしながらでないとやり続けられないと思う。

 

 まあ、偉そうに書いてしまったが、本職の人に言わせればまた違った素晴らしい方法があるかもしれないので、一つのヒントとして読んでもらいたい。