コンサドーレ札幌の事

 曇り、肌寒いと言えば肌寒い、しかし半袖でもOKという微妙な状況である。もう6月も半分が過ぎ、来月は7月という事は、夏が来るのだからもう夏の準備は必要だろう。北海道の本当に夏らしい夏は、一か月しかない。

 コンサドーレ札幌は、本当に勝てない。J1で一番弱いチームというのは判っていた。しかし、それでもジャイアントキリングは何度かあると期待していた。しかし、その期待は裏切られた。

 どうして勝てないかは、やはり選手の技量に合わせた戦い方が出来ていないことに尽きる。若手を使うにしても、試合で却って委縮してしまうような使い方、フォローの仕方では、ダイヤの原石も磨かれない。

 更にJ2で続けていた前からのチェイシングも体力が持てばよいが、前半で体力を使い果たし、後半攻める力が残っていない戦い方は如何なものだろうか?

 そのチェイシングも、少し走る距離が長すぎるきらいがある。間合いというものが有り、相手がこらえきれない距離がある。J2では、相手が慌ててミスしてくれた間合いでも、J1では冷静に交わされる。それを何度でも続けることは、明らかに無駄である。

 更に、交代枠は3人しかなく、更に最後までキーパーの枠を残していたら実質2人しか交代できないことになる。その2人が必ずしも試合に入り込めていない。

 交代が有効に機能しなければ、選手にどう攻めろと申し渡しているのであろう。交代枠が機能する方法をあらかじめ選手に同じ考えを持たせる工夫無しでは、却って選手がバラバラになる。

 それが先週末の試合である。前線の選手にボールが来なく、ゴール前まで戻って守備を行えば、攻めるためにはゴール前からハーフラインまで全速力で戻らなければ空いてDFを抜き去ることができない。100メートルの距離を全速力で走り、その後ボールコントロールできる選手は、世界でも数人だろう。

 まさしく選手全員が今までのサッカーを続けていたら勝てないことは判ってきたはず。でもそれを変えることもできないし、どうやって変えれば勝つチームができるかさえ誰も思い浮かばない状況で、選手が一丸となって戦うことができるだろうかはなはだ疑問である。

 そして、この流れを変えることができるとしたらやはり監督の力量次第である。しかし、石崎さんにその能力が無いのは、J2に居た頃から判っていた。J1に昇格できたのは、勝手に徳島がこけてくれたからである。上手くその流れにチームが乗り最後に勝ち上がれただけである。

 今、負け続けているのは、けが人が多いからと言われているが、けが人が出やすいのは、限界まで体力を使い切っているのに更に負荷を掛けているからに他ならない。人間の筋肉は、疲労の蓄積と回復のリズムが上手く機能しなければ簡単に壊れてしまう。

 毎日走り回って筋肉を強化しているつもりでも、その毎日の強化に栄養と休息を与えなければならない。それが上手くできていない。これから夏場を迎えるが、筋肉への負荷は今以上に強度になり、今の戦い方をしていれば普通に怪我をする選手が今と同様に出続けるだろう。

 札幌の選手に必要なのは、科学的な戦い方である。如何に体力的に100%の力を出し切らずに連戦を戦い続けて行けるかのコントロール方法を身に着けるしかないだろう。そしてそれを可能にするには、やはり戦術である。100%の力を出さずしても勝ちきる戦い方、選手全員が無駄走りをするような今の戦い方ではない。

 後半戦に入り、選手の補強が言われているが、これから巻き返すには、メッシ選手のような一人で得点できてしまうような選手を獲得するしかないが、そんな選手を補強できるようなクラブは日本には無い。

 そんなことを考えるくらいなら監督を変えるしかないだろう。まさしく現実に則した戦い方ができる監督である。