いつか来た道

 晴れ、気温は低いが我慢できる寒さ。

 

引用 日刊工業新聞http://www.nikkan.co.jp/news/nkx0320121101aaaq.html

パナソニックは31日、2013年3月期の当期純損益が7650億円の赤字になる見通しだと発表した。電池や携帯電話事業などで多額の事業構造改革費用を計上するほか、繰り延べ税金資産の取り崩しなどにより、当初の500億円の黒字予想から一転。過去最大の赤字を計上した前期に続き、巨額損失を計上する見通しだ。中間、期末配当とも見送り1950年以来の無配転落となる

 この記事は、少しパナソニックをかばうものだろう。この業績悪化は、既に数年前から予想されたことで、パナソニックもリストラにいそしんでいた。その影響で去年の赤字がでたのは織り込み済みだったが、今年の赤字は、基本的に違う。

 この赤字の原因は、まさしくシャープと同じである。目新しい成長産業と言えば、スマートフォン位しか見当たらない現状で、そこに経営を集中できる環境を捨ててきたからである。

 もともと、パナソニックの元の社名である松下は、マネシタと呼ばれるように他社の真似をしてそれに続くヒットを出す会社で知られていた。それは、日本国内の企業がそれなりにヒットを飛ばし、2番煎じで商品を出しても価格的に対抗できるものだったからである。

 しかし、それも国内のライバル企業が軒並み外国製品に負け、新商品を開発する能力を逸してくると情勢は変わった。今までの他社のヒット商品の真似では、価格面で到底太刀打ちできない状況となってしまったからである。

 それなら、新しく商品を開発すればというところなのだが、もうそれも伝統的にできない状態では、白旗を上げざる負えない状況になってしまったと言える。

 それは、松下幸之助氏が残した哲学を忠実に実行し、例えて言えば守りの経営に徹したことがアダになったと言える。今の時代に生き残る術を失い、吸収合併したシャープを解体し、商品開発能力をも失った今、解体寸前の状態に追い詰められたと言って良いだろう。

 

 一時期もてはやされ、日本企業で行われているリストラ(Restructuring )だが、本来の意味である労働の再生では無く、不採算部門の切り捨ての方法として取り入れられた。確かに不採算部門は、切って捨ててしまえば身軽になり赤字を減らすのには貢献するが、その後に必ずこの言葉本来が持つ再構築が必要である。

 そのために不採算の経費を新規事業に回すことで人的資源を有効に使うという事なのだが、今の現状は人件費の削減しか考慮されていない。

 このパナソニックの事態は、日本の企業のすべてに当てはまることである。自分たちが追い付き追い越した外国企業の影を今自分たちが踏んでいるというところである。

 これは他人事では無く、反面教師なのは心しなければならない。何時自分に降りかかることになりかねない事実である。