記憶

 晴れ、気温はまた急激に冷え込みマイナス10度を下回った。春の足音は大きくなったり小さくなったりしているようだ。

 昨日のNHK特集は、去年の出来事をまた蘇らせてくれた。自分は、あの時どこで何をしていたのか記憶を鮮明に呼び戻してくれた。

 放送で流れた映像は、大部分が未見の映像で構成されており、時間がその時のことを整理し始めたようである。
 
 時間は、物事の記憶を簡潔に整理してくれるが、そのことが逆に色々な雑多な記憶を消し去って行く。それによりあるものは軽微に、あるものは過剰に整理されていく。

 本来失ってはいけない記憶も、その時間という要因が曖昧にさせ、本当にあったかどうかさえおぼろげにする。それが人にとって良い方に作用する場合と、悪い方へ作用する場合がある。

 その悪い例の一つが、津波に対する警戒が不足していたことである。

 しかし、この映像の記録は、実際あった出来事として鮮明に記憶として残してくれたのではないだろうか。

 人は、忘れることで心の痛みを減らそうとする。それが良い結果を生むことも多い。それが人が生きるためのすべでもある。

 そうやって人類は生きながらえてきた。しかし、過去を忘れることは非常に大きな犠牲を払ってきたことも確かである。人が忘れるが故に忘れないでいる方法を見つけることも大事なことである。