アベノミクス

 曇り時々晴れ、風が非常に強い。低層を流れる雲の速さは、飛行機並みである。

 アベノミクスの効果というが、まだ、本当の経済政策はまだないのが現状である。新政権発足後、日本の経済政策は、日銀の量的緩和政策とTPP交渉参加の意思表明だけである。

 日銀の量的緩和は、円安とそれで利益を得るための海外資金が日本の株式市場に流れ込んだ結果である。では、真の経済政策の実行は何んだろう。

 言葉としては、「民間投資を喚起する成長戦略」であるが、首相官邸HPにその概略がのっている。よく読むと、成長戦略をまとめ25年半ばに提示されるらしい。だから基本的には、その内容はまだ決まっていないが現在その発表に皆期待を膨らませている状況である。

 その成長戦略の実行部隊として日本経済再生本部があり、その会議を産業競争力会議とし以下の項目についての政策をまとめるらしい。

 

A 産業の新陳代謝の促進

 B 人材力強化・雇用制度改革

 C 立地競争力の強化

 D クリーン・経済的なエネルギー需給実現

 E 健康長寿社会の実現

 F 農業輸出拡大・競争力強化

 G 科学技術イノベーション・ITの強化

 実際これの政策が25年半ばに出て実行に移されるまで1年程度は掛かると思われるので26年実施という事に成るだろう。

 そしてその間にTPPがある。このTPPも交渉は難問である。成長戦略に係る部分に影響を与えるのは全項目である。もしかすれば、Aの産業の新陳代謝が外国資本によって行われ、日本の企業は全滅する可能性もある。

 

 そして一番気になる部分は、情報通信産業の部分、ここではIT分野となろう。日本では、既に核となる情報通信の技術力は既に日本独自のというものは無いに等しい。その分野にこれから割って入るためには、グローバルな技術という国際的に利用される技術にならなければならない。

 今まで日本発の規格は悉く外国から拒否されてきた。それは、各国が自国の産業を守りたいが故の戦略であった。そのため、日本発の技術は、得てして国内のみで通用するものでやがて消えていくものばかりだった。

 

 また、インターネットの技術についても既に日本は立ち遅れ始めている。エレクトリックコマースの分野において、制限が撤廃されれば、今の状況では、アマゾンが一人勝ちする可能性が高い。それにより商取引は、そういった電子空間上で行われるのが標準となれば、関税の掛けようもなくなる。便宜上、商取引の実態を明らかにさせ物の行き来を追跡するようにすると思われるが、例えば支払いを現物交換するような方法を取れば金の行き来は無くなる。それだけでも、そこに介在する産業は衰退するだろうし、日本の商社と言われる産業も衰退するだろう。

 また、世界のグローバル産業が新しい商取引の方法を開発し、国家間の取引を事実上なしにすることも可能である。そうなれば既に国という概念が無くなり、そういいた会社が独自の国として生きるようになる可能性も秘めている。

 まだ、実現していない政策にあれこれ言うのもなんだが、バブル以降失われた20年は、日本にとってもう取り返しのつかない時間であった。既に技術はグローバル化し、日本独自の新技術は生まれにくい時代になってきている。今後もそれを取り返すのは不可能に近い。

 そういった観点から、昔のような貿易立国の地位を取り戻すのは不可能であるの観点から、日本の産業構造を考えて行かなければならないだろう。

 その点でいえば、日本の生きる道は、あくまでも今までの蓄えた資本を上手く有効運用して老後に備える退職者世代の生き方が中心に成るだろう。

 その中で次の世代のために、日本の一部、例えば東京を、香港のような都市にしてその繁栄のおこぼれを周りで分配する社会構造になるのだろう。もう既にそれは始まっている。

 それでは、それ以外の地方はどうするのかと言えば、その分配をその地方で有効活用できるような自治体に再編するという事だろう。それが道州制という事に成るのだろう。

 まだ見ぬ政策に期待を込めた今の株価の上昇であるが、この先も上げ続けるためには、もっと期待を膨らませるような政策を出すしかない。そういった事が出来るか如何によって安倍政権の命運は別れるのだろう。

 まあこれで失敗すれば、途端に債務国に転落するのだから、今の日本では、これが成功するのを期待して見守るしかないのが現実である。