近未来

 晴れ、気温は高いのだが、時折吹く強い風がそれを感じさせない。

 近未来の事を想像するとそれはSFの世界と近づくことが多い。我々の住む現実世界と、このインターネット上に存在する仮想世界は、この先、融合するのかはたまた分離するのか想像するのは興味深いことである。

 もし、融合するとしたら、その手始めはやはり、グーグルグラスのようなウェラブル端末を常に装着することになるだろう。今のように手元にスマートフォンを持ち情報を確認するのではなく、体に装着、或いは埋め込まれたICチップが常に電波を受信し続け、常に脳に情報を伝達する世界である。

 その時には、情報を手で入力するなどという事は無く、常に頭で考えたことが送信される。SFで言うならテレパシーという超能力をハードウェア―で実現するようなものである。

 ただし、そうなると頭で考えたことは常に送信されてしまうし、特定の誰かに送信したいという事に対して何らかの制御が必要になって来る。当然、その事態になればそれをハッキングしようとする機関が現れるだろう。

 今起こっている事件のように、テロリストから国を守るためという名目を使い、最終的には、どんな情報も思うがままに取得されるような事態を引き起こすだろう。

 

 だけれどもそんな事態を怖れながらでも自体は、必ずそういった脳に直接接続するような仕組みは作られるだろう。それは情報発信の究極な世界だからである。

 そしてもう一つの未来は、現実の世界に住む人間と仮想の世界に住む人間が分けられた社会である。現実社会でインターネットが使われないわけでは無い。仮想社会に住む人間と現実社会に住む人間が別れる世界である。

 昔、仮想世界のセカンドライフというものが一時話題になった。それが本当の社会として住む人間が作る世界が生まれるという事である。現実社会で成功できなくても仮想社会で成功できる人間もいるだろう。そうなれば、現実社会に存在する価値は無い。精神は仮想社会に有って生きることは可能だろう。

 そうなった場合、現実世界に体を置き去りにする必要がある。その肉体の管理は結構面倒である。誰が栄養を与え排泄物の処理を行うのかを考えれば実現不可能と思うが、例えば脳以外の肉体を放棄してもらい臓器を売ることによって永久に脳だけを管理する企業が出来ればそれは可能である。

 仮想社会に生きるには現実の体など不要である。脳さえあれば考えることは可能である。そしてその脳から仮想社会に繋ぐことのできる回路さえできれば良いのである。

 仮想の社会では、どんなことをしてもゲームのように生き返ることも可能である。肉体さえも永久に若さを保つことができるし、どんな形にも変形できるだろう。

 また、もし脳だけで人が現実社会に存在できるならサイボーグも可能である。それもSFに出てきた話である。そうなれば、人間は病気というものから解放されるかもしれない。(脳から発生する病気は除いてであるが)

 

 でも現実的には、徐々にであるがその世界を作り出す技術は、近い将来必ず出来上がるだろう。