名前

 晴れ、気温は0度まで冷え込んだ。寒い。

 

 困ったことが一つある。それは、人の名前を忘れてしまう事である。最近というわけでもなく、若いころから人の名前を憶えない。その一つの原因は、本当に覚えようとしていないからだと思う。覚えようとしないのだから覚えているわけがない。

 営業の人と会い、名刺交換するのだが、端からその名刺の名前を見ていないことも多い。2度目に面会するとその人は、自分の名前を知っているものだと思い名刺を渡さない。名前を聞くのも失礼なので、そのままになると顔は知っているが名前を思い出さないという事が多くある。それなら名刺を見ればと思うが、同じ会社の人の名刺が何枚もある場合もあるのでそこから選ぶのが大変である。

 きっと営業の人は、名刺交換した後必ず面会御礼などのメールをくれるとありがたい。メールの履歴を見ればその頃の記憶を辿ってあの人だと見つけられる。不思議とメールだと思い出しやすいし、覚えてしまう。

 営業の人の名刺には、携帯電話とメールアドレスが必ず載っている。最低メールアドレスは書かれているのでそれを利用しない手は無い。面会した後で御礼の電話を掛けると相手が忙しい場合受けてもらえないだろうし、わざわざ電話を掛ける程の要件ではない。そこでメールである。営業の人にはお勧めしたい。特に名前を憶えない自分のような人間には有効だろう。

 営業の人ならというと失礼だが、忘れても何とかなるが、会社の同僚や部下の名前を度忘れすることがある。これはまさしく致命的である。覚えているはずが頭から出てこない時ほど恥ずかしいことは無い。

 数年前だが、時たま会う先輩のお祝いの会で名前を度忘れしたことがある。直前まで名前を呼んでいたはずなのに挨拶の時に忘れてしまったのだった。あれは酷く恥ずかしい思いをした。上手くごまかせばよかったのだが、咄嗟にできなかったので本当に申し訳ないと後悔している。

 そんな失敗がありながら依然として人の名前を憶えない。本当に困ったものである。