ノロ

 曇り、気温はマイナス11度。


 今日からセンター試験が始まるようである。受験生は体調を万全にして試験に臨んでほしい。

引用 静岡新聞http://www.at-s.com/news/detail/911081539.html

 

浜松市の市立小に通う多数の児童が嘔吐(おうと)や下痢の症状を訴えて集団欠席した問題で、市は、14日に学校給食で提供された食パンの製造工場からノロウイルスが検出されたと17日発表した。市保健所は集団欠席の原因がこの食パンによる集団食中毒と断定し、製造した同市東区の菓子製造業者を同日から当分の間、営業禁止処分とした。

 ノロウィルスによる食中毒は、毎年この時期から始まる。今回の原因と断定された食パンだが、給食に使われていたため多くの食中毒者が出たのは残念なことである。

 ノロウィルス自体は、自然界に普通に存在する。人体に入るのは、食物からや、ウィルスに感染した人の吐しゃ物や糞便からである。さらにその感染した人の排泄物が下水を流れ川や海に流れる間に、貝に蓄えられ、その貝を食べて人がまた感染するという循環を繰り返す。

 また、人間にとって厄介なことは、感染者からでた排泄物から出たウィルスが短時間で死滅せず、数週間生きながらえることである。また、感染しても症状が発現せず軽症で終わる場合であっても、その人が感染源に成りうるというところだろう。

 目に見えるような大きさのウィルスであれば、見つけるのは簡単であるが、人間の目では見えない大きさであるためどこにそのウィルスが付着しているか見当もつかない。例えば、普段利用する公共交通機関の乗り物の吊り輪、取っ手などに付着している可能性はある。それを全て素手でつかまないようにしても、それが上着などに付着すれば、自分がウィルスを伝搬することになる。

 ただし、全ての物にウィルスが付着している可能性は低く、簡単に感染することは無いのだが、集団感染が発生すればその付近は相当なウィルス密度に成ると予想でき、今回起きた浜松市は要警戒が必要だろう。

 予防は、手洗いが第一である。食事を作る、食べるときは必ず手洗いし、食器や料理器具も清潔なものを使用するのが基本である。そしてなるべく生ものを避け加熱調理したもの食べるべきだろう。

 

 ただ、これ程集団での感染が度々起きるのは、やはり日本人が清潔な環境で暮らしていることに他ならない。更に、国内での抗生剤の利用により自然界でも、雑菌の淘汰が起きていると考えられる。

 人間の腸内にも多くの雑菌が存在する。その雑菌は、普段人間の体調を崩すことなく共存して存在している。しかし、抗生剤を摂取すれば、当然腸内のある種の雑菌は死滅し、体内の雑菌のバランスが崩れてしまう。一端崩れてしまうと、ノロウイルスのような菌が腸内に到達すると、それが繁殖する余地が生まれてしまう。もし、雑菌のバランスが取れていたなら菌同志自分の存在を主張するため外部から入ってきた菌が極端に繁殖することは無い。

 ノロウィルスがこれ程、猛威を振るうのも、有効な治療薬が存在しないためである。そのため、感染した後は、脱水に対する補液や、発熱などに対する対処療法を行うしかない。人間の回復力が全てで、それが衰えた人は死に至る可能性がある。

 すこし話はそれるが、抗生剤は、人間が生き延びるための必要な薬で、多くの病気を治してきた。それは間違いのないことであるが、それを過剰に使用することで自然界に大きな影響を与えてきた。

 日本で下水を調べると、多くの薬剤成分が検出される。抗生剤もその一つである。その自然界にあふれ出した抗生剤がどう影響するのかまだ判っていないが、当然色々な雑菌がそういった抗生剤に耐性を持つようになってきていることは想像に難くない。

 その抗生剤は、自然界の水で薄められ、雑菌を死滅させるような濃度では無く、ある程度の作用をもたらすものであれば耐性を獲得するのは自然だろう。そういった事が自然界で起きているとすれば、いずれ全ての抗生剤に耐性を持つ菌が現れる可能性がある。

 今では、医療でも抗生剤の適正使用が謳われるように漸くなり、乱用が少なくなってきているが、医療だけでなく今では、食肉動物の感染予防、養殖魚への感染予防などで使われるようになっており、歯止めは掛かっていない。

 今回起きた集団食中毒は、人間への警鐘でもある。