地吹雪

 晴れ、気温はマイナス9度。


 今週、道内は局地的に吹雪が起きた。風が強いと舞い上げられた雪が前方の景色を妨げ本当に前が何も見えなくなる。車を運転していたら数メートル先の前の車が見えなくなり、辺り一面真っ白になるためどこを走行しているか判らない不思議な感覚になる。車が動いているのでさえ分からないのだから急ブレーキを咄嗟に踏んでしまう。それが衝突事故につながってしまうのである。

 昔、帰宅途中の人が、家がほんの数10メートル先に見える距離まで来ていたのに猛吹雪で方向感覚を失い、そのまま凍死してしまったという事故が有った。それは当然街中では無く、郊外の家だったのだが。

 

 何故そういう事が起きてしまうかというと、周りが真っ白になり何も目印が見えなくなると同時に、余りの風の強さに顔を上げられない状態になる。当然、顔を上げられないのだから足元を見て歩くようになる。普段なら道路があり道しるべになるのだが猛吹雪で吹き溜まりがあちらこちらにできるくらいだとその道路も雪に埋まってしまうのである。

 顔を上げない状態で数分歩くとどこにいるのか判らないし、更に吹き溜まりにはまってしまえば、腰下くらいまで埋まればもう身動きが取れなくなる。脱出しようにも、雪はさらさら雪では無く、飛ばされた細かい雪が積もってしまうので身動きできなくなる。それがことさら体力を消耗させる蟻地獄のような状態になるのである。

 都会で暮らしていればそういった事は余り考えられないのだが、北海道は、まだまだ隣の家が100メートル先という地域が沢山あり、多くの人がそこにくらしているのだ。

 先月関東を襲った大雪も、冬の間何度も繰り返されることであり、一時交通マヒは起こるが、そこからの復旧はなれたものである。JR北海道も色々な事で批難されてはいるが、雪害で一時的にストップしても、一日復旧できないということは無く、その点で特筆すべき能力は備えている。そういう意味で、努力しているのに報われない組織というのは、いたるところに綻びは出やすいものなのである。これは蛇足であるが。

 ここ最近、3月に入って風が強まり、猛吹雪に成るという事がここ10年頻繁に起きている。昔もこのような吹雪は起きていたが、風邪の強さは3割増しくらいになっているのではないだろうか。これは、何となくの感じであり正確なデータを持って比較したのではないので当っていないのかもしれないが、気候の変動が大きくなればなるほど被害が大きくなりそうである。

 地球温暖化と言われていたが、温暖化というよりは、気候変動の過激化というべき状況に達していると言わざる負えない。