大分戦

 霧雨、気温は18度。

 日曜日の大分戦は別の用事で見に行けなかった。代りにCS録画で見た。

 ハッキリ言ってしまえば、小野選手は持っていなかった。もし運命を持っていたなら3本程度あったシュートの内どれか一つは入っていただろう。そういう意味で今後の札幌の運が試された試合だった。

 試合は、大分に攻め込まれる場面があり、相手の得点チャンスもそれなりに有りはしたが、総じて札幌ペースの試合で進んだ。

 パス回しも落ち着いてできたし、シュートもそれなりに打てた。あの札幌の得点シーンは見事な連携で勝ち取ったものである。

 しかし、やはり守備力が着いて行かない。惜しい所でポカをする。それは若いと言うだけでは無く、練習の積み重ねから生まれると思う。そのエアーポケットのようにたまに落ち込むところが改善されなければこの先も、大事なところで相手に得点を許してしまう事だろう。

 日本代表が相手にするようなチームであれば何点取られるか判らないが、相手はたかがJ2レベルの実力しかないチームである。ミスをしたところで相手もミスしてくれるのだから何とかなっているだけで、守備の連係は本当に大したことが無い。

 相手のレベルに合わせた守備をしていては、何時まで経っても自分たちの能力を伸ばすことはできない。本当に近くにそういったレベルの選手と対戦できる機会が有れば良いのだが、北海道には残念ながら札幌しかプロチームは無い。

 そのため練習試合も大学や社会人相手である。それでギリギリの勝負ができるかと言ったらそんなことは決してない状況で、自分たちが相当低いレベルで試合をしていることを自覚すべきだろう。

 本当に札幌の選手の実力が高く、代表レベルの能力が有っても、この環境が選手たちの心に隙を作ってしまうのだろう。この程度のミスでも相手に得点されないと思えばどこかに甘えが出る。そういった心構えでは何時まで経っても札幌は札幌のままである。

 この先の事を考えるなら、一度選手全員を甘えが許されない極限状態の試合ばかりができるような状況を経験させないとだめだろう。

 20日の試合は、そこが出た試合である。相手の好機を摘むことができる守備が一体どんなものか知る必要がある。それを選手全員で90分間続けなければならない。残念ながら小野選手は守備の選手では無く攻撃の選手である。守備能力はこの試合を見てもそれ程高くなく、走力もそれ程では無かった。これは来る前からわかっていたことで、守備の要となる選手は必要である。奈良、櫛引選手が本当に順調に育ってもあと2,3年掛かるだろう。

 というわけで、この先本当に日本代表レベルの選手を輩出するには、相当の覚悟が必要だと思う。そのレベルの選手を獲得できただけでも選手たちはこれから変わって行くだろう。

 もう一つ変わらなければならないのはやはり監督だろう。アマチアに毛が生えた程度の能力では勝てない。あの選手交代の意図が守備的にするにしても疑問が多い。

 その一つが2枚目の交代である。守備に重点を置くのに石井選手は無いだろう。石井選手は色々な所に回されるが如何せん守備能力に関しては、小野選手より落ちると思う。相手との距離感が絶望的に悪い。相当疲れているであろう選手につききれずマークを外してしまう。

 あれだったら、まず上原選手を入れボランチの選手を増やして4-5-1くらいにして良かった。相手は前2人にハイボールを入れてくるのは判っているのだから、そのパスを出す選手にマンマークを付けるくらいの思い切った作戦にして欲しかった。

 まあ結果論で、上手く行けば監督の采配が決まったことに成るのだろうが、残念ながら追いつかれてしまった結果を見れば失敗だったという事に成る。

 これから終盤戦に向かい、監督の指揮能力が序盤よりもシビアに求められる。采配が嵌らなければ嵌らないほど選手たちの心が監督から離れて行くことに成る。それがこれから起きないことを願う。