プロリーグの課題

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 日本シリーズが行われているが、周囲の話題にも上らない。道内ニュースは、日本シリーズよりも日ハムの秋季キャンプの話題を流している。

 これは本当に凄いことで、一昔前なら考えられないことである。それもこれもクライマックスシリーズという制度で本当の日本一を決めるシリーズの意味が曖昧になってしまったからといえる。一シーズン戦ってきて最後の数試合でその結果が翻るのだから、リーグ優勝の勝ちは下がるのは当り前である。

 

 それでもし日ハムが勝ち上がっていたら1年の試合は練習みたいなもので、後半のトーナメント方式が本番のようなものである。それなら、もっと変形して昔やっていた2シーズン制にして前期、後期の覇者同士が戦う方がまだわかりやすい。そういう意味で興業と真のスポーツという狭間で苦労しているという事に成る。

 翻ってJリーグも来季のJ1は久しぶりの2シーズン制になる。果たして、前記後期の優勝チームの争いが受け入れられるのだろうか。もしかすると優勝決定戦は行われているのに話題にも上らないという事が起こりうる。道内ならなおさらで、試合が行われている間も日ハムの話題ばかりという今のような事に成りそうである。

 おらが街のチームを応援するという事は、自分たちのチームが勝ち上がらなければ何の影響をもたらさないということである。それだけ、優勝という価値が低下し、今後のプロスポーツの発展という意味でマイナスの影響も起こるということである。


 どうしてこういう事が起こりうるかというと、自分たちの代表がどこにあるかという事である。サッカーなら、自分たちの代表は、あくまでも地元のチームであり他所のチームでは無い。その上は日本代表しかない。

 JリーグのチームがACLに出場していても、応援しにくい環境になっているのはそのせいである。今時点で有名なUEFA CLなどに参加しているプロチームなら世界中に応援しているファンが存在しそれなりに盛り上がるが、スター性の乏しい、クラブWカップなどは、決勝戦しか世界的には話題に上らないだろう。


 結論は、地元に根差したプロチームの存在は、必ずしもそのプロスポーツの発展に寄与しない場合がある。その一つの証明が野球で、今の北海道のように日ハムしかプロ野球チームが存在しないというような状況ではマイナスでしかない。

 だからと言ってJリーグが各地方にチームが存在し、その地方に大勢のサポーターが存在して応援していても、底辺での発展には寄与しているが、世界的に人気を誇るプロチームを作りにくい。更に優秀な選手は海外に移籍してしまうので、どうしても国内の選手ばかりでは話題性に乏しくなる。

 野球、サッカー共に異なる伝統を持ちそれぞれの立場で活動を続けてきたが、次の段階へと進む道しるべを失っている状況と言える。

 野球は、今のチーム数で戦っていくら頂点に立っても、国を代表して戦うには相手国が少なすぎる。それを解消するには、世界各国で野球というスポーツが広まらなければならないが、大リーグが世界から選手を集めてしまっているため、各国で野球というプロスポーツが発展するエネルギーが無さすぎる。そういう意味で、世界的な普及が無いとすれば、国内の市場を開拓するためにチーム数を増やす決断が必要だろう。

 一時期、球団数を削減する考えもあったが、パイを少なくしても今後パイを大きくする要因は一つも無い状況では無理だろう。

 サッカーは順調に、各地方にプロチームを作り上げ、チーム数は足りてきたと思う。その中で、やはり本当に強いプロチームが1,2チーム存在する必要がある。それが2強他弱でも構わない。その2チームが世界で伍して戦えるようになれば本当のプロリーグと言える。

 その2強、少なくとも1強が出てこなければいけないだろう。それを作り上げることができるかがJリーグの課題だろう。

 ただし、自分のようにまったりと地元チームを応援するだけで良いという層は必ず存在する。その存在を無視しないで上記の課題をクリアして欲しいと願う。