移籍

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 札幌の砂川選手が期限付きで移籍すると発表された。その前に榊選手が完全移籍と発表され、ここにきて選手のチームからの離脱が目立ってきた。

 プロ選手は一年一年が勝負である。そこで何らかの結果を残さなければ次のステップは保障されない。チームを移るという事は、ステップアップかステップダウンしか無く、長くチームに留まれば留まるほど、そのチームに愛される選手となる。

 そういう意味で、今いる札幌の選手の中では、一番の古株で札幌の移り変わりを目にしていたはずである。そしてその選手としての存在が何であるかということを突き詰めれば試合に出ることで、現役でいる限り出場という事に拘らなければならない。

 そして、今いる河合、小野、稲本にしても輝かしい経歴を持ち最後の選手生活を札幌というチームで過ごし、そして現役にこだわる限り試合出場を求めている。そこには一種の危機感を持っているだろう。

 しかし、彼らは長い現役生活の中で高いレベルの試合をこなしている蓄えがある。その蓄えを少しずつ吐き出しながら選手寿命を延ばしてきた。その最後まで現役でいようとしているのが横浜の三浦選手だろう。

 彼なら何時でも現役生活を終えて新しい人生を歩むことが可能だろう。何をしても食いはぐれは無いだろう。それでも減益に拘るのは、サッカー選手で居なければ何をやっても楽しめないと思っているのだろう。

 今いる札幌の選手も、シーズンの後半に入り次の身の振り方を考え始めているだろう。きっと若手の選手においても次の自分のステップアップ先がどこにあるのか考え始めているだろう。何故なら、試合に出ながらも札幌を出なければならない若手が今シーズンに入る前にもいたからである。

 本当なら札幌で試合に出て、活躍して、代表に選ばれるまでになりたいと考えていただろうが、中々思い通りに成らない現状がある中でプロ選手として現役でいられる時間は限られている。彼らにとって、プロサッカー選手に成ることが夢で、ようやくその一歩を踏み出したが、もう既にサッカー選手でいられなくなった時の事を考え、一年い年が勝負で、もし引退したとしたらサッカー選手でいた頃よりもはるかに長い時間を第2の人生として選択しなければならないからである。

 彼らの一人一人が芝生の上に立ちボールを蹴れるという素晴らしい経験をしているわけで、決して敗者では無い。その先には素晴らしい人生がきっと待っていると信じて今の時間サッカーができる喜びを感じて欲しいと思う。