バルバリッチの功罪

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 コンサドーレ札幌の監督が交代して一週間が経った。少し落ち着いたところで彼の功罪を書いてみたい。

 バルバリッチが札幌の監督になったのは、2014年の8月だった。丁度1年経過した上での解任という事に成る。当然監督は年契約だろうから、途中で辞めさせたからと言ってお金が返ってくるわけでは無い。

 野々村社長がその当時の監督であった財前氏から交代する際、ラジオでこう語っている

引用 山ちゃん美香の朝ドキッ(http://www.hbc.co.jp/radio/asadoki/nonomura/g1408.html

バルバリッチに最終的に決定した理由は、これっていう決定的なものにはならないかもしれないけど、短期間で監督を任せるということになると、ある程度その人がどんな人なのかを知らないとうまくいかないと思います。

僕が解説等をしていたとき、オシム監督とバルバリッチと3人でW杯の試合の解説をするという機会があったんですよね。

南アフリカのW杯の頃でしたが、その頃から僕はバルバリッチをそれなりによく知っています。こういう思考の監督なんだなというデータはありました。

ユーゴスラビア系の方なので、熱くなりやすいところはありますし、日本人から見たらちょっと怖いと感じることもあるかもしれませんが、意識を変えるという部分では悪くないし、オシム監督に子分みたいなところがあるので、日本人がどういうサッカーをしたら面白いかというような部分で、良いアイディアを持っていると思います。

 その中で、残り14試合で6位以内を目指していたが結果はご存知のように6位以内を逃している。

 その中で、彼が監督に成った時に小野選手が怪我で試合に出れないことが、会社が描いていた小野を中心としたチーム作りが出来なかった原因に成ったと思う。

 もし、小野がチームにいて彼を使って試合に臨んで欲しいという思いが伝わっていれば今のチームは無かっただろう。そして、彼が作り上げたチームは、自陣で奪ったボールを縦に速くだし中盤を経由しないで点を奪いに行くというものだった。

 その中盤を省略して縦に速いサッカーをするには、攻撃した後相手の攻撃に切り替わった時に素早く自陣に戻れる選手が条件だった。

 その役割を担うには、走れないがテクニックがある砂川、前田が干された原因だと思う。更にもう一つのポイントは前の選手が積極的に守備を行うという約束事である。その点でも前田が外され、ナザリトも外される原因になった。

 今の主流は、縦に速い速攻と前線からの守備、そして前でボールを奪ったら早く攻めるショートカウンターである。そのためには、ボール試合率を優先するのではなく、相手にワザと攻めらせてカウンターに繋げるというものである。

 札幌がそれまで磨き上げたボールを繋いで試合率を高め相手に攻撃のチャンスを与えないという試合運びとは全く異なると言って良いものである。

 支配率を高めパスをつなぐ役割を担うため札幌は選手を残してきた、その象徴が砂川であり、前田であり、小野であり、菊岡である。

 しかしバルバリッチの指向するチームと役割が異なれば全く異質の存在となる。だから今までのやり方では、砂川、前田、小野、菊岡が入っても、彼らの頭の上をボールが通り過ぎるために試合に加われないことに成り、彼らの役割は相手ボールに成った時の前線での守備になる。その点に関しては、全くもってその能力を持っていない。其れだったら若手を使うということに成ったのだろう。彼の功の部分は、結果的に若手の登用という結果的にそうなったことなのだがそうなってしまう。

 社長の思いは、小野を中心としたチーム作りだろう。折角、世界の小野を札幌に加入させたのに試合に出してくれない。練習で先頭をきって取り組んでいても監督が使わないのなら宝の持ち腐れとなる。それがチームに不協和音をもたらしたのだろうと思う。

 監督交代して会社が求めるチームは、縦に速いサッカーでは無く、ボールを回して点を取るというチームだろう。1年間で作り上げたものをまた元に戻すという事になる。

 しかし、果たしてそういったチーム作りができるであろうか?怪我がちの小野と守備能力に劣る前田を使って果たしてJ2で6位以内という結果を出すことが可能だろうか。四方田監督の手腕が問われる