台風5号

 曇り、気温は21度。台風5号の影響で雨雲が広がっている。丁度暖かい太平洋上空の空気をかき混ぜて進んでいるが、もう少し西寄りだと今年初の上陸となったはず。

 台風が日本上空を通り過ぎると暑い時期は終わりを告げる。更に台風による大雨は、大きな被害をもたらすためあまりありがたくない存在である。しかし、それも人間の力で制御できるわけでもなく、人間にとっては自然の成り行きに任せるしかない。

 北海道はことのほか今年の夏は、本州の暑さとは一種隔たりを持つ感じとなっている。その壁のような存在が津軽海峡なのだろう。

 何故北海道と本州は陸続きにならなかったのだろうという疑問が沸く。大陸から弓のように迫り出した日本列島は、150万年前ころまでは宗谷海峡対馬海峡が陸地となっており(氷河期のため海水面が今より低かったため)丁度日本海の海水を太平洋側に押し流すように開いているのが津軽海峡だけだった。

 丁度日本海は今と違い堰止湖のような形をしており、唯一開いた津軽海峡が水の出入りをする関門のような存在であった。そして氷河期が終わり海水面が上昇すると同時に対馬海峡に海水が満ち、宗谷海峡も海に沈み今のように日本列島がアジア大陸と切り離された。

 今現在の海洋地図を見てもらうとわかるが、日本海は湖のように浅く氷河期が来ればまた日本列島は大陸と陸続きになる可能性が高い。はたしてこの先どの様な氷河期が巡ってくるか不明だが、日本海を歩いて渡れる時が来るだろう。

 津軽海峡もそのころは、島の間を流れる川のような姿になるだろう。もしそうなると相当な断崖絶壁なのは間違いない。そこを歩いて渡るのは危険かもしれないが。

 津軽海峡を流れる海流は、日本海を流れる対馬海流の分流である。もう片方は、宗谷海峡に向かう。そのため津軽海峡は比較的暖かいい海水が流れ、そこを抜けた海流は、北から流れてくる親潮とぶつかり合う。丁度北海道の十勝沖から東北の三陸沖で混じりあい漁場と呼ばれる魚が多く集まる場所になっている。

 津軽海峡が本州と北海道を隔てる壁と書いたが、地形的に遮断すると同時に、気候も同様に日本海側の暖流が北海道の手前で行き止まりになるため北海道周囲を寒流が覆い本州と北海道が異なる気候になる理由になる。

 海流と気候の関係はすごく重要である。丁度寒い日にお風呂の浴槽にお湯を貯め窓を開けるとお湯の表面から盛んに水蒸気が立ち上るのを見ることができるが、冬の日本海は丁度そのような状況になっているのである。比較的北海道周囲の海水温が本州側より低いため水蒸気が上がりにくくなっているため降雪量に差が出る原因にもなる。(日本海がお湯を貯めた浴槽なのである)

 少し話は飛んでしまったが、台風5号は、北海道に大雨をもたらしながら北からの乾いた空気を送り込む。この台風一過は北海道に秋風を運んでくるだろう。