大口病院事件

 曇り、気温は17度。昨日の夜から降り出した雨は朝の6時くらいに上がった。このまま晴れ間に変わりそうな勢いである。


引用 毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20180710/ddm/041/040/220000c) 

横浜市の旧大口病院で2016年9月、入院患者2人が中毒死した事件で、西川惣蔵さん(当時88歳)を殺害したとして逮捕された元看護師、久保木愛弓容疑者(31)が通常は薄めて使う消毒液を原液のまま投与した疑いがあることが、捜査関係者への取材で判明した。消毒液は高濃度で体内に入ると多臓器不全などを起こす恐れがある。神奈川県警は、久保木容疑者が殺意をもって投与したとみて調べている。

 この事件、起きたのは2016年だから2年が経とうとしている時点での逮捕で、自分もそういった事件があったなという状況であった。

 既に死期を迎える老人を殺害した事件として思い浮かぶ類似のものとして1997年フランスで起きた看護師による安楽死殺人がある。それ以外にも、ドイツでも看護師が関与した老人の連続殺害事件が起きている。

 看護師という職業は、医師よりも濃厚に患者と接している。その中で独りよがりの思想を持つ者がその現場に入り込めば危険な行為を行うことは簡単である。

 この事件が起きた当時大口病院のことに触れられていたが、死期が近い患者をまとめて受け入れる老人病院として運営されていた。一般の人は、病院という括りで考えれば、病気を治療して社会復帰を目指していると考えがちであるが、実際は、積極的な治療を行わず、食事がとれない患者は点滴で栄養補給しながらベット上で寝たきりの状態にさせている施設と言って良い。

 当然、積極的な治療をしないのだからある時期が来れば自然と死期を迎えることになる。当初、院長の言葉で「最近亡くなる人が増えた」というのがあったが、毎月ある程度の人が亡くなっていくためそれ程死について敏感ではないことが良くわかる言葉である。


 この事件で殺された人たちもいずれはお亡くなりになる人たちであり、この犯人が手を下さなくともそのことに変わりは無かった。だから、犯人は入院患者を殺すのに良心の呵責を覚えることは少なかったのであろう。更に言えば、もし、投与したのが消毒液ではなく別の薬であればもっと事件の解明は遅れたであろう。或いは、証拠がなく完全犯罪も可能だったかもしれない。

 しかし、犯人はそんなサイコパスのような完全犯罪を達成することに喜びを見出す人物ではなく、一人目が疑われずに成功したことで味を占め、人の死を操ることに快楽を得るような単純な人間だったが、犯罪を犯した環境が犯行の発覚を遅らせたと考えてよい。

 今後も、医療関係者の中にそういった考えをや事件を起こすものは時折現れ続けるだろう。もし、入院したら全てにゆだねることなく疑ってかかる必要があるのかもしれない。