経済か感染予防か

 雨、気温は5度.この雨は一日中続き、ところによってはバケツをひっくり返したような降雨になるようだ.11月に豪雨というのも珍しいかもしれない.

 

新型コロナ:コロナ重症者「第2波」超す 全国、2週間で1.7倍 :日本経済新聞

新型コロナウイルスの感染者の増加が止まらない.マスコミからはGotoの影響と盛んに情報を流しているが、これが主流ではないと思う.大きな理由は、国民の警戒心が薄らいだからである.

 その象徴の大きな出来事が10月末にあったハロウィンである.すっかり感染症の事を忘れて東京渋谷に多数の人が集まり大騒ぎをした.集まった多くの若者たちの姿にこれでは感染が広まっていくだろうと予想がされた.

 

 もう一つはやはりマスコミなどの影響も大きい.4月の頃はスタジオにもゲストやコメンテーターがリモートで登場し、感染を広めないようにしようとする努力はあったが、最近ではその意識が薄れつつあった.何となくこのまま新型コロナウイルスの流行も収まるのではないかという雰囲気があり、サッカーや野球なども限定ではあるが観客を入れて試合を行うようになったことも国民に影響を与えた.

 

 そういった雰囲気を作り出したことに政府も影響を与えていることは間違いがない.政府の中にこのまま経済を回復させる働きかけをしなければ流行が収まったとしてもこの影響は数十年続くと思われたからである.

 そのためには、多くの産業が生き残る手立てが必要だった.更にそこに観光立国を目指す政策があり、観光業、飲食業の維持は基本的な方針に含まれていたからである.

 観光業は既に日本にとって大事な産業の柱だった.そこに目玉の東京オリンピックがあり、産業振興はこの先日本の未来を掛けた政策でもあった.

 

 そういった中で、これ程感染者の爆発を生んだのは、その波に流されるように行動し始めた国民の動きであった.多くの人の移動が始めれば流行は再燃することは既にこの感染症の流行が始まった時に判っていたことである.

 その再燃と予防の狭間の中でどういった選択を国民に与えるかが重要で、経済を回しながら流行を抑えるという困難なミッションに日本は取り組んでいたと言える.

 

 そこで本題である緊急事態宣言を出すべきか出さざるべきか、これについては正解は無い.何故なら前例がないからである.経済を止めないで感染予防ができないという前提なら、どちらかを犠牲にした時に被害がどちらが大きいか検証するデータがない中で予想すら難しいことである.

 

 昨日も書いたが、高齢者の感染がもっと広まり、多くの高齢者が入院するようになれば、それぞれ何らかの持病を持つため両方の治療が必要になりそれだけで多くの人出が取られるようになる.マンパワーが不足するのは目に見えているだけに感染が広まることを抑えなければ医療は必ず崩壊する.国民の皆さんはそうなった場合、今は健康な人でも医療を受けることを制限されることを判って欲しい.

 経済と感染予防を同時に行おうとするならそれなりの防波堤が必要で、それを全て医療機関あるいは医療職の方に丸投げすることだけはやめて欲しいものである.