香港は中国のもの

 晴れ、気温は16度.太陽の光がさんさんと降り注ぐ陽気で暑いと思って外へ出ると意外とそうでもないという朝である.感覚は夏の暑さなのだが、風は意外と冷たい.

 

 

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 イギリスの香港租借が終わり中国に返還された時、このようなことが起こることを今の世界は予想していたはずである.しかし、どの国も中国に返還してはいけないという論調は無かった.

 多くの国は、自由な香港が中国と交わればやがて中国も民主化した国になると楽観視していたと思う.現実は、そうではなく香港の自由も中国の規律の中に飲み込まれていく.

 かって社会主義国家であったソビエトが、民主化運動によりロシアになりひと時の間、自由主義国家になったかと思えたが、やはり、長年その制度に馴染んだ人々によりまたもや一党独裁の国に戻りつつある.国民は奴隷の身分に戻るかもしれないが、それにより恩恵を受けていたことを忘れられない多くの人が存在する.時代の変化に乗り遅れ今までそういった余禄を得ていた人たちが自由競争という名のもとに以前だったら考えられないような人たちが新興財閥として名を馳せていくのを見ているのは面白くない.それは、一躍表に躍り出た人たちの足元を掬う方向へなびくことは致し方ないことなのかもしれない.

 香港は中国国民にとって今まで自由を享受していた側である.自分達はこれから先も香港のような自由を享受できないとしたら、自分達が甘んじている境遇を受けることが正当だと思うだろう.それが大まかな今の香港に対する中国の締め付けだと思う.

 更に為政者は、今の中国が自分達の考えられる範囲で支配できている考えている.その支配できる範囲を超えると体制が崩壊すると考えている.体制が崩壊すれば今まで虐げていた人たちの反乱が始まり今の自分の地位や財産を失うかもしれないと考えたなら、為政者はどう振る舞うだろう.

 答えは簡単である.難癖を付けてでも自分達の制度に組み入れる方法をとるである.今の体制や政治を非難することを決して許すことは無い.

 香港の民主化運動は、中国の大きな力によって封印されるだろう.天安門事件のようにそういった歴史的事実があったことを忘れるように国民を教育していくだろう.自分達に牙を今後向けることの無いように思想教育をしていく.

 そういう意味で、中国の鞭と飴政策は上手く行っている.その政策の基本は、飴を与えるために国力の発展を目指しその余禄を国民に分け与えることである.その財力が途切れなければその政策は続いていく.その財力の源が自由主義国家との結びつきというのだからお笑いといえる.

 片方でせっせとお金を生み出すために協力し、片方で中国の国家体制を非難する.本来ならそのお金を生み出すことに対して制裁すれば良いのだが、今の国家体制の方が良いと考える国も多いのだろうと思う.

 どこかで中国は転帰を迎えるだろうが、それは数年先に起こるとは思えない.数十年数百年の時間が必要かもしれない.

 かっての日本が武士社会で鎖国政策をとり、外国との付き合いを制限することで200年以上江戸時代は続いた.その時代の国民は、自分達の暮らしに不満を持っていたかもしれないがその制度を壊そうとしなかった.その切っ掛けは、やはり情報と外圧によって大転換された.

 中国国内の情報管理は進んでいるが、それが完全に維持できているとは考えにくい.中国が発展すればするほど今の体制に不満を持つ人は増えるだろう.後必要なのは外圧だけである.

 

 果たして世界は共同して中国に圧力を掛けられるようになるのだろうか?