WOWOW 連続ドラマW 鵜頭川村事件

 晴れ、今日も秋晴れの良い天気.気温は14度.二日続けて晴天なのはここ最近では珍しい.週末も高気圧に覆われて快晴が見込まれる.

 

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 本屋で並んでいた原作本を読んだばかりだったのでWOWOWのドラマが気になり第1話、第2話を見ている.この話はネタバレも含まれると思われるのでまだ未見の方はご注意ください.

 

 小説の方のあらすじは

文春文庫『鵜頭川村事件』櫛木理宇 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS

3年ぶりに亡き妻の故郷・鵜頭川村事件を訪れた岩森明と幼い娘。
突然、山間の村は豪雨に見舞われ、土砂崩れで完全に孤立。
そして、ひとりの若者の死体が発見された――。

犯人捜しをめぐって村人同士の対立が顕在化し、
狂気に陥った村人から逃げまどう明と幼い娘。
その姿を追ううち、いつの間にか読んでいる自分が追われている気分に襲われます。
果たして彼らは脱出できるのでしょうか⁉

WOWOWで連続ドラマ化も決定!
ぜひお楽しみください。(MS)

とい謎解き物ではなくサスペンスドキュメンタリー風小説なのだが、ドラマは自然災害で閉ざされた村の中での対立の物語という外骨格だけ取り出して新しくストーリーを作り上げたドラマになっている.そのため小説と結末は当然異なるものだろう.

 小説の方の主人公は、通信関係の会社に勤める会社員で娘は6歳ということになっているが、ドラマでは主人公は医師で娘は小学生5年くらいだろうか?何故医師になったかというと小説で登場する村唯一の診療所の医師がある程度重要な役割を与えられているのだが、ドラマではカットされたため医師役に変更されたのだと思う.その代わり小説には殆ど登場しない駐在所のおまわりさんがドラマでは同姓となり登場している.

 

 主演の松田龍平も含めてせりふ回しが稚拙で感情移入しにくい.更にその周りの重要と思われる役者が余りにも演技が大げさで、いうなれば昔の「トリック」を思わせる.「トリック」はあくまでも見ている人を笑わせるために超常現象を持ってきて主人公達は舞台回しをするために右往左往する.そのため役者が演技過剰でも喜劇のノリと思えば許されるものだった.しかし、ドラマの方は喜劇のノリではなくサスペンス志向なのである.そのギャップは見ている者を放り投げたまま着地は見ている者にお任せ状態なのである.

 

 主演の松田龍平についてすこし書かせてもらうと、若い頃はもっと精悍で若さの象徴であるガラス細工のような壊れてしまうような繊細さと尖った部分を演技から滲ませていた.その時から台詞回しは朴訥で鷹揚の無い話し方をしていたがそれが彼の味とも言えるものだった.彼が出ていた大泉洋主演の「探偵はBARにいる」に出て居た頃、相変わらずの台詞回しで演技を行っていたがその頃から悪い意味でちっとも変っていない.

 彼も相当の年数を役者として過ごし円熟味を加え年齢相当の渋みが加わっているかと思えば、昔の彼から精悍さが抜け、昔なら何を考えているか判らない男という感じから何も考えられない男に変貌していた.その彼が主人公として最後まで動き事件の解決をしていくのだから驚きである.一層の事「トリック」の上田次郎路線で二番煎じで良いから喜劇に代えて欲しいと思った.それの方が彼の演技の意外性を引き出せたのではないかと思う.

 というわけでまだ最終回を迎えていないWOWOWドラマだが、果たして残りの四話で大どんでん返しがあるのか或いはサスペンススリラーと宣伝しているが実際は喜劇という展開になるかもしれない.その辺りはこうご期待である.