野焼き

空は晴れている。雲は所々に浮かんでいるが、これから雨に変わるとは俄かに信じられない。少し肌寒い気温である。外に出ると、焦げ臭い匂いが辺りに立ち込めている。収穫の終わった田んぼの稲わらを焼く匂いである。毎年の事となっているので気にはならないのだが、確か、交通の障害になるというので野焼きは禁止になったはずだがと思うが、余り有効にはなっていないのだろう。少し前なら、そこら中の農家が一斉に行うものだから、本当に数メートル先が見えないほどの煙に包まれたことがあった。確かにあれはやりすぎだろうと思う。田んぼの稲わらも刈り取ったまま放って置くと、北海道の場合寒さが厳しい冬が直ぐ来るため腐らず年を越してしまう事が多い。腐らない稲わらは肥料にもならない。話はちょっと違うが、この腐らず積み重なった草で出来る地層が泥炭層である。このような泥炭層で出来た土地が北海道にはいたるところにある。この地帯は、作物に必要な栄養分が足りないため余り農業に適した土地ではない。北海道には、そのような地域がいたるところにあり、先人は苦労して土を入れ替えたりして農業に適した土地に作り変えて来たのである。また稲わらを燃やすと灰になり、これはアルカリ質であるから、作物を作るうえで貴重な養分となる。だから世界でも焼畑が行われているのである。農業の基本から言えば、腐らないものは燃やして灰にするしかないのである。しかし、この薬と言う行為は、煙害を引き起こし、更に二酸化炭素を放出する。これだけ地球温暖化のことが言われているのに、自然を相手にする農家が率先して環境破壊と思われる行為をするのもあまりよくないだろう。これも晩秋の風物詩ともいえる。街路樹のナナカマドの木も一部紅葉しだしてきた。今週末は平地でも紅葉真っ盛りになるのだろう。