臓器移植について考えたこと

脳死患者からの生体肝移植が法律化されその後順調に進んでいるかに見えた臓器移植であるが、実態は以前と変わらなかった。

 日本の風土に由来する生命感の違いであるとその場で納得しても仕方が無い。ここは一つ前向きな議論をするべきときに来ているのである。

 今回の、臓器売買の事実は、報道としては一つであるが、表面に現れない同様の事は、もっと多くあるのだろう。事実、日本で臓器売買が禁じられているため、東南アジア、インド、中国などに旅行して移植してくることが事実として語られている。外国では良くて何故日本が駄目なのかということになってしまう。

 ここで、国内での臓器売買を認めてしまうことは性急なことである。ただでさえ格差社会といわれているのに、人の命も金かとなるからである。

 しかし、このまま臓器移植を進めていこうとするなら、まず脳死患者からの臓器提供の促進をしていかなければならない。そこで出てくるのは、臓器提供者に対する何らかの金銭の保証を国が行うべきではないだろうか。そうすれば、少しは社会的に受け入られる可能性が出るのではないだろうか。

 そうしていかなければ、日本は他国の人の臓器を買いあさる国となってしまうからである。

 今ある事実に、目をつぶり見ない振りをするよりも、今回の事件を通してより良い方法を模索する必要があるのではないだろうか。