人間力

 曇り、たまにおこぼれのように雨粒が落ちてくる。本格的に何時降り出すか不明。

 

 「人間力」は、不思議な言葉である。人間として生きて行く力ととらえるべきか、それとも人間社会で生きて行く能力と考えるべきもの、それとも原始時代のように人間が動物の中の一種族として生き抜くための能力なのだろうか?まあどれでも当てはまるし、それが使われるその場の雰囲気、文脈が大いに関係してくるのだろう。

 人の一生が80歳程度だとしたら、だいたい半分の人がそれ以前に無に返る。生まれたばかりなのにこの世の生を生きられない場合、その人間力を発揮できない人生もありうるわけである。

 人間の一生という短い、或いは長い生の間に身につく色々な経験が人間力を身に着させるのであるが、その円熟した状態で多くの人がリタイアする。その経験を下の世代に伝えることは中々難しいし、その人間力が通用する時代ではなくなっている場合もある。

 そういう意味で、人間が持つ能力を充分に発揮できるのは、自分自身が存在する時間空間でしかない。その能力をいかんなく発揮できるように努めることが大切なのだろう。