安楽死、尊厳死の問題(人工呼吸器の場合)

医療関係者なら似たような事例を見たり聞いたりしたことがあるのではないだろうか。

 そのような現場に居合わせたとき、安楽死尊厳死を認めても良いと思う。しかし、こればかりはケースバイケースであり、個々の事例で判断しなければならない。

 例えば、人工呼吸器を付けた全ての人が、人工呼吸器を使わない治療を選択すべきであるというのは間違いであり、危険な状態を人工呼吸器を使うことで脱し、そのあと自発呼吸になり、人工呼吸器を使わないで退院することが多くある。
 
 またそれ以外に、回復の見込みの無い人工呼吸器使用も現実にはある。

 日本には、尊厳死安楽死の法律が無い。無い以上、今回のような事件は、グレーであり、もしかしたら犯罪なのかもしれない。

 そこで要点を整理するが、人工呼吸器の使用に関しては、

 ? 呼吸状態の回復の見込みがある
 ? 呼吸状態の回復の見込みが無い
 ? ?、?と断定できない場合

 以上の3つがあると思う。
 また、?の場合でも、呼吸器の症状の回復が無いが、原因が脳、脊髄疾患の場合のように神経伝達系統の障害の場合もある。

 自分の考えでいうと、極めて脳死に近い状態の場合とその治療で延命効果が無く、さらにそれにより苦痛を与えるような場合という結論に達する。

 しかし、現在の法律では、それを認めていない。

 医療に携わる人たちは、そこに苦しんでいる。早急な国の判断が必要である。それが無ければ、医療現場の個々の判断でそういう処置を行い、極めてグレーな部分で暗黙の了解のうちに処理されてしまう可能性がある。