夜に降っていた雨は既に止み、晴れ間が広がっている。空のいたるところに薄く刷毛で引いたような絹雲が浮かんでいる。先週まではまだ、半袖でも充分だった朝だったのが、今では上着が無くてはならない気温にまで下がってしまった。秋は、気持ちを寂しくさせる。あれ程夏の間、きれいな色とりどりの花を咲かせていた庭は、既にその彩を無くし、手入れの行き届いていないところは雑草に覆われ始めている。太陽の光のあの力強さは弱まり、あの熱気を含んだ風も、今は自分の体温を奪い始めている。それにしても、あの北京で行われていたお祭り騒ぎはどこに姿を隠したかのように、世界は静まっている。アメリカで起きている金融恐慌はどれ程の影響を全世界に及ぼすのか誰も知ることは出来ない。その影響が自分の身の回りに及ばないようにと思うだけでなす術が無い状況である。全ての人に幸運が訪れることはない。しかし、全ての人が平穏な生活が出来ることを祈るばかりである。